ソラナ財団、カザフスタン政府とMOU締結 経済特区「SEZ KZ」に続き国家規模の連携強化へ

2025年6月22日、パブリックブロックチェーン「ソラナ」の開発を支援するソラナ財団が、カザフスタン政府のMDAIと覚書を締結した。
経済特区「SEZ KZ」に続く連携で、同国におけるブロックチェーン活用が国家レベルで本格化しつつある。
カザフスタンとソラナ、トークン経済を国家戦略に
ソラナ財団は6月22日、カザフスタン共和国のデジタル開発・イノベーション・航空宇宙産業省(MDAI)との間で覚書(MOU)(※1)を締結したと正式に発表した。
本覚書は、同国におけるトークン化された資本市場の形成支援、ブロックチェーン開発者への教育支援、そしてソラナ系スタートアップへのリソース提供などを柱としている。
このMOUは、2025年5月に発表されたソラナ基盤の経済特区「Solana Economic Zone Kazakhstan(SEZ KZ)」の設立に続くもので、カザフスタンにおけるWeb3インフラの整備が次なる段階に進んだ形だ。
「SEZ KZ」は中央アジア初のブロックチェーン経済特区であり、アスタナで開催された関連イベントを機に始動。イベントには政府関係者やWeb3専門家が集い、エネルギーやアグリテック、金融分野におけるブロックチェーンの活用事例が共有された。
また、トークンを用いた証券・不動産・金などの資産クラスの可能性についても議論が行われ、国家戦略としてのトークンエコノミーの土台が築かれ始めている。
※1 MOU(覚書):正式な契約ではないが、当事者間の合意内容や協力方針を文書にまとめたもの。国際ビジネスや官民連携でよく用いられる。
Web3進出の新拠点に浮上 規制の柔軟性と国際協調が鍵
ソラナ財団とカザフスタンの連携強化は、中央アジアにおけるWeb3推進のモデルケースとして注目できる。
特に、国家が主導してトークン資本市場や教育支援に取り組む姿勢は、スタートアップや開発者にとって魅力的な環境となりうるだろう。
実際、SEZ KZは規制緩和や税制優遇などのインセンティブも含まれるとみられ、今後、国際的なWeb3プロジェクトが集積するハブとなる可能性がある。
カザフスタンは近年、仮想通貨マイニングの受け入れやデジタル通貨実証にも積極的で、規制当局の柔軟性も際立っている。
一方で、トークン化された金融商品には不確実性も残る。
投資家保護やAML(※2)対策、国際的な法制度の整合性といった課題は未解決であり、今後の法整備と実運用が成否を分けると考えられる。
ソラナ財団は、今月3日にドバイの規制当局VARAと同様のMOUを交わしており、中東と中央アジアを軸に新たなWeb3経済圏の形成を狙う動きが強まっていることが窺える。
教育・起業支援・経済特区という三位一体の戦略が、ソラナのグローバル展開を加速させる原動力となる可能性もあるだろう。
※2 AML(マネーロンダリング対策):資金洗浄を防止するための法律・規制。仮想通貨のような非中央集権的な金融手段においては、特に重要視される。