SBINFTと九州電力が提携 学芸員キュレーションのアートNFTを販売へ

2025年6月10日、SBINFTと九州電力がアートNFTの販売領域における提携を発表した。
両社のサービスを連携させ、学芸員が選定したデジタルアート作品のNFT販売を開始する。
新たなWeb3ビジネスとして注目できる。
学芸員が選んだアート作品をNFT化し販売
SBINFT株式会社と九州電力株式会社は6月10日、NFTマーケットプレイス「SBINFT Market」と、九州電力が運営するアートキュレーションプラットフォーム「デジがろ」の連携を発表した。
この提携により、学芸員資格を持つキュレーターが選定したデジタルアート作品を、NFTとして発行・販売する取り組みが始動する。
「デジがろ」は、九州電力の社内プロジェクト「KYUDEN i-PROJECT」から生まれた「九電デジタル画廊プロジェクト」の一環で、キュレーションと販売支援を兼ねたプラットフォームである。
今後はSBINFT Marketの技術を活用し、Polygon(ポリゴン)(※)チェーン上でNFTを発行し、6月24日から順次販売が行われる予定だ。
6月10日からは「デジがろ」内で作品の一部が先行掲載されており、販売対象作品は今後拡充される見込みだ。
売上の一部はアーティストだけでなく、キュレーションに携わった学芸員にも分配される。この仕組みにより、アート作品の価値向上と学術的視点の普及を両立させる狙いがあると見られる。
※Polygon:イーサリアムと互換性を持ちつつ、手数料の安さと処理速度の速さを特徴とするブロックチェーンの一種。
今後の展望、NFTの普及を広げる効果に期待
今回の提携は、アートNFTの一般層への普及という観点でも注目に値する。
SBINFTは九州電力に対し、SBINFT Marketを通じてNFTを発行・販売する機能を提供するだけでなく、クレジットカード決済による購入環境を整備する。
従来、NFTの購入には仮想通貨ウォレットや暗号資産の準備が必要であり、導入のハードルが高かった。だが今回の取り組みでは、誰でもクレジットカードでアートNFTを購入できるようになるため、より幅広い層が市場に参入しやすくなるだろう。
また、九州電力のような地方のインフラ企業がWeb3領域に踏み出すことで、NFTという概念自体が、より日常的なものとして定着することが期待できる。
一方で、NFT市場は投機的な側面も依然強いため、アートの持つ本質的な価値とのバランスをどう取るかが課題となるだろう。
今回のように、学芸員という専門職による選定が介在する仕組みは、価値の信頼性を高める手段となり得るが、ユーザーの理解と教育も、今後の普及には不可欠だと言える。