Pixel、6月アップデート配信開始 生成AIでオリジナルステッカー作成も可能に

2025年6月11日、米GoogleはPixelスマートフォン向けに定期アップデート「Pixel Drop」の6月版を配信開始した。AIを活用したステッカー作成機能や撮影ガイドの新設など、カメラ・文字入力・アクセシビリティにわたる複数の新機能が導入されている。
AI生成で自分だけのステッカーが作れる時代に
6月の「Pixel Drop」では、Pixelスマートフォンの利便性を一段と高める複数の機能が導入された。
中でも注目されるのは、画像生成AIを活用したオリジナルステッカーの作成機能だ。文字入力アプリ「Gboard」内からプロンプトを入力し、アイコンを選択するだけで、生成AIアプリ「Pixel Studio」によりユニークなスタンプが生成される仕組みである。ユーザーはさらに、自身の写真背景を削除してスタンプ化することも可能になった。
カメラアプリでは、撮影時の操作性向上を目的としたガイド機能が追加された。画面右上の「?」マークをタップすると、各モードの使い方や特徴がヒント形式で表示されるため、初心者でも効果的な撮影が行える。
アクセシビリティ面でも進展が見られる。拡大鏡アプリにリアルタイム検索機能が追加され、スマートフォンをかざすだけで、飲食店のメニューなどから目的の文字情報を即時に探し出すことができる。対象の語句が見つかると画面上で強調表示され、端末の振動によりユーザーに通知される仕組みだ。
また、「Pixel VIPs」と呼ばれる新機能も導入された。これは家族や親しい友人などを「VIP」として登録し、専用ウィジェットに配置することで、誕生日や現在地、WhatsAppでのやり取り、通話履歴などを一括して確認できる機能である。VIPからの連絡は「おやすみモード」中でも受信可能となる。
AIとUXの融合が進むPixel 利便性とプライバシーの両立が鍵に
今回のPixel Dropは、Pixel端末におけるAI活用の新たなステージを示していると言える。生成AIを日常的なコミュニケーションに統合することで、ユーザーの創造力や表現の幅を広げると同時に、撮影・連絡・検索といった基本操作の快適性も向上している。
特に、オリジナルステッカーの生成や撮影支援機能は、SNS時代の表現ニーズと直結しており、ユーザーのエンゲージメント向上に寄与する可能性が高い。GoogleのAI技術を直接活用できる環境が、他社スマートフォンとの差別化要因として作用するだろう。
一方で、機密性の高い個人情報を扱う「Pixel VIPs」には注意が必要である。端末上でのローカル処理が原則とはいえ、現在地や通話履歴の共有はプライバシー上の懸念を呼ぶ可能性がある。ユーザーが自らの情報管理に関与できる設計かどうかが、今後の評価を左右すると見られる。
なお、同日にはAndroid 16の先行展開も始まっており、Pixel 9以降の端末ではLE Audio対応補聴器との連携機能など、さらなる機能強化が図られている。Pixelシリーズは今後も、AIとUXの融合を軸に進化を続けると考えられる。