OpenAIなどAI大手24社が米政権「ジェネシス・ミッション」に参画 科学研究・エネルギー分野でAI活用拡大へ

2025年12月18日、米国政府が主導するAI活用の国家的な取り組み「ジェネシス・ミッション」に、OpenAIやMicrosoftなどAI分野の主要企業・団体24組織が参加した。
科学研究やエネルギー分野でのAI活用を国家主導で加速させる狙いだ。
米政権の「ジェネシス・ミッション」にAI大手24社が参加
18日、ブルームバーグおよび米エネルギー省(DOE)の発表によると、「ジェネシス・ミッション(※)」に、OpenAI、マイクロソフト、NVIDIA、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、グーグルなど24の企業・団体が名を連ねる。
これらは政府と覚書(MOU)を締結済みの組織や、DOEおよび国立研究所と既存の研究プロジェクトを進める企業、または本取り組みへの参加に関心を示した組織に該当する。
同ミッションは、AIを科学研究に本格的に組み込み、実験設計の自動化や大規模シミュレーションの高速化、予測モデルの生成を後押しする国家プロジェクトである。
ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)のマイケル・クラツィオス局長は、最先端AIの活用によって研究者の生産性が飛躍的に向上すると述べた。
トランプ大統領は先月の大統領令で本取り組みを発表し、政府機関による研究の連携強化とAIツールの統合を進める方針を示した。
第2次政権ではAI産業の育成を優先課題に掲げ、AI施設の建設や開発支援策を打ち出す一方、企業活動の妨げになるとして州規制の緩和も目指している。
※ジェネシス・ミッション:米国政府が主導するAI国家プロジェクト。
国家主導AIがもたらす加速とリスク 官民連携の行方
ジェネシス・ミッションは、AIを民間主導の技術にとどめず、科学研究を支える基盤として国家レベルで活用しようとする点に特徴があると言える。
エネルギー、製造、創薬といった分野で研究開発のスピードが向上すれば、米国発の技術革新が再び世界を主導する可能性は高まるだろう。
特に、大手AI企業と国立研究所が同じ基盤上で協働する枠組みは、これまでにない成果を生むと考えられる。
一方で、特定の巨大テック企業への依存が進むリスクも否定できない。
国家研究に用いられるAI基盤が一部企業の技術に集中すれば、競争環境や技術的中立性への懸念が生じる可能性がある。
また、安全保障や研究データの管理を巡るガバナンス設計も、今後の重要な論点になりそうだ。
DOEは大学や非営利団体を含む協力主体の拡大に意欲を示しているため、今後は官民連携の枠組みが広がる可能性もある。
ジェネシス・ミッションの成果は、研究の加速と公共性の確保をどのように両立させるかという点で評価されそうだ。
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