家賃自動決済にトークン化預金活用 シノケンとゆうちょ銀行実証実験

2025年11月26日、シノケングループ(東京都港区)は、ゆうちょ銀行およびディーカレットDCPと共同で、ゆうちょ銀行のトークン化預金を活用した実証実験を発表した。
不動産業界におけるトークン化預金を活用した実証実験は初の取り組みであり、家賃決済の自動化・効率化を検証する。
賃貸管理の家賃支払いにトークン化預金を活用 業界初のPoCで決済の自動化を検証
26日、シノケングループは、ゆうちょ銀行およびディーカレットDCPと協業のための基本合意書を締結したと発表した。
また、トークン化預金を用いた不動産業界初の実証実験も行う。
トークン化預金とは、銀行預金をトークン化し、銀行預金と同じ安心・安全を保ちながら、ブロックチェーン技術を活用してデジタル上で利用できるようにした仕組みだ。
今回の実証実験(PoC)では、シノケングループが管理する賃貸物件を対象に、月次賃料支払いの自動決済を検証する。
家賃の引落し日を入居者の都合に合わせて柔軟に設定できるなど、これまでの銀行引落しにはなかった利便性を備える点が特徴である。
実証期間は2025年12月末までを予定しており、結果を踏まえて2026年以降の本格導入を視野に入れる。
さらに、支払い履歴や入居期間などのデータを活用し、独自のポイント制度「シノケンコイン」を導入する構想も検討中だ。
これにより、入居者が次の住まい探しなどシノケングループの各種サービスをシームレスに利用できる仕組みの構築を目指す。
金融と不動産の融合が描くキャッシュレス社会の未来
シノケングループとゆうちょ銀行が進めるトークン化預金の実証実験は、金融と不動産という異分野を結びつける新しい試みとして注目できる。
最大のメリットは、家賃支払いのような定型的な取引を自動化し、即時決済を可能にすることで、入居者と管理会社双方の業務負担を軽減できる点にあるだろう。
特に、支払い日を柔軟に設定できる仕組みは、生活スタイルや給与サイクルに合わせたよりパーソナライズされた決済体験を提供できると言える。
一方で、ブロックチェーン上で資金を扱う以上、サイバー攻撃やシステム障害といったリスクへの対策は避けて通れない課題となるだろう。
さらに、トークン化預金という新しい金融スキームを社会実装するには、法制度や監督基準の整備など、行政との連携も欠かせないと考えられる。
トークン化預金の実証が成功すれば、その応用範囲は公共料金や保険料など生活に密接な領域へも広がるだろう。
こうした動きが進めば、デジタル通貨と実体経済の融合が現実味を帯び、国内キャッシュレス社会の質的転換を促す契機となる可能性もある。
関連記事:
ゆうちょ銀行、デジタル通貨「DCJPY」導入へ 1円=1DCJPYで交換

SBI新生銀行、円建てトークン化預金「DCJPY」導入検討 Partior・ディーカレットDCPと提携

香港がデジタル資産規制を緩和 グローバル流動性とトークン化実験を推進












