日鉄ソリューションズ、Citadel AIと提携 企業のAIガバナンス体制を強化

2025年11月10日、日鉄ソリューションズ株式会社(以下、「NSSOL」)は、AIガバナンスツールを手がける株式会社Citadel AIと販売代理店契約を締結した。
AIの品質保証や透明性確保を支援し、企業の安全なAI活用を促進することを目的としている。
NSSOLがAI監視プラットフォームを提供 企業の信頼性確保へ
NSSOLはCitadel AIが提供するAIモデル監視・評価プラットフォームについて販売代理店契約を締結し、AIの導入から運用に至るまでの品質保証とガバナンス強化を支援する方針を示した。
生成AIや機械学習モデルの社会実装が加速する一方で、品質・公平性・セキュリティの課題が顕在化しており、特にエンタープライズ分野では「信頼できるAI」構築が喫緊の課題となっている。
NSSOLはこれまで、製造・金融・流通・ヘルスケアなど150社以上でAI導入を支援し、データ基盤構築から開発・運用・人材育成までを包括的に手がけてきた。
今回の提携により、同社のノウハウとCitadel AIの最先端技術を組み合わせ、ISO規格やEU AI Actなど国際的な規制に対応したガバナンス基盤の構築を推進する。
Citadel AIのプラットフォームは、AIモデルのハルシネーション(※1)やバイアス(※2)、データドリフトを自動検知し、異常を可視化する機能を備える。
生成AIを安全かつ継続的に運用できる環境の整備を通じ、AI活用の透明性の確保や規制対応の支援を図る狙いがある。
※1 ハルシネーション:AIモデルが事実に反する内容を、あたかも正確な情報のように生成する現象。
※2 バイアス:AIが学習するデータやアルゴリズムに起因する偏り。公平性や判断精度に影響を与える要因。
AIガバナンスを経営戦略へ 信頼性指標が競争力を左右する時代へ
NSSOLとCitadel AIの提携は、企業がAIを「安全に使う」段階から「責任をもって運用する」段階へと進む契機になりそうだ。
AIの透明性や説明責任を可視化する仕組みを整えることで、企業は取引先や顧客からの信頼を得やすくなり、グローバル市場における競争力強化にもつながるだろう。
また、属人的だった品質管理をシステム化できれば、法務・監査部門との連携がスムーズになり、経営全体でAIを統制・最適化する基盤が築かれていくとみられる。
その一方で、AIガバナンスの実装は単なるツール導入では完結せず、現場運用や企業文化の変革も伴う可能性がある。
監視や検証を継続的に行うにはコストと専門人材の確保が欠かせないため、中堅企業には導入のハードルが高いかもしれない。
また、ガバナンスを形式的に導入するだけでは、逆に意思決定の柔軟性を損なう恐れもあるだろう。
今後は、AIの信頼性を経営指標として扱い、リスク管理から戦略経営へと位置づけ直せるかが焦点となりそうだ。
NSSOLの導入ノウハウとCitadel AIの技術を融合できれば、EU AI ActやISO規格など、国際的なAI規制への対応を見据えた基盤づくりが加速するとみられる。
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