ルーマニア当局がポリマーケットの予測市場をギャンブル規制対象と判断

2025年10月30日、ルーマニア国立賭博局(ONJN)は、ブロックチェーン予測市場「ポリマーケット(Polymarket)」を「無免許ギャンブルの提供」に該当すると判断し、同国のブラックリストに追加したと発表した。
大統領選取引急増が引き金に 予測市場を「賭博」と認定
ONJNは、ポリマーケット上で行われる取引が「投資・予測」ではなく、参加者同士が相対的に賭け合う構造を持つ「賭博」にあたると指摘した。
法定通貨か暗号資産かを問わず、金銭を賭ける構造そのものが規制対象になると説明している。
今回の判断の背景には、2025年ルーマニア大統領選挙と地方選挙に関連する取引量の急増がある。
ONJNが引用したポリマーケットのデータによれば、大統領選関連では約6億ドル(約915億円)、ブカレスト地方選では約1,500万ドル(約23億円)超の取引が発生したとされる。
フランスでは2024年にジオブロックが命令され、ベルギー、ポーランド、シンガポール、タイでも規制措置が講じられている。
ポリマーケットは2022年、米商品先物取引委員会(CFTC)からも未登録スワップ取引を指摘され、罰金と国内ユーザー遮断に応じた経緯がある。
一方、同社は米国市場への再参入に向けた準備を進めており、CFTCが2025年9月に発行したノーアクションレターによって、一定条件下でのサービス提供が当面の執行対象外とされた。
さらに10月7日には、米インターコンチネンタル取引所(ICE)が最大20億ドル規模の出資を発表し、伝統金融との連携も進展している。
成長と規制のはざまで揺れるブロックチェーン予測市場
ルーマニア当局の判断は、予測市場を巡る世界的な議論の分岐点となりそうだ。
最大のメリットは、違法ギャンブルや相場操作を未然に防ぎ、政治的中立性や公共性を維持できる点にあるだろう。
とりわけ選挙や社会的イベントを対象とする市場では、投機目的の拡大が世論誘導につながる懸念があり、一定の規制は信頼性確保の観点から有効といえる。
しかし一方で、過度な制限は革新的な市場形成を阻害する恐れがある。
予測市場は「集合知」を活用して社会的意思決定を支援するツールとして注目されるが、単なるギャンブルとして扱われることは技術進化のブレーキになりかねないだろう。
特に、ブロックチェーンを基盤とした分散型プラットフォームでは、透明性と参加型経済を両立させる仕組みが整いつつあるだけに、規制の過剰適用は慎重を要すると考えられる。
今後は、予測市場を「金融商品」と「娯楽コンテンツ」のどちらに位置付けるかという国際的なルールメイキングが焦点になるだろう。
米国やEUで議論が進めば、ルーマニアの判断がその前例として影響を与える可能性もある。法整備とイノベーション推進の両立が、今後のバランスを左右しそうだ。
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