OpenAI、最大1兆ドル評価でIPO準備か 2026年後半の申請を視野に

2025年10月29日、OpenAIが新規株式公開(IPO)の検討を開始していると、関係者3人が明かしたとしてロイターが報じた。企業価値が最大で約1兆ドルと評価される可能性があるという。
OpenAI、2026年後半にもIPO申請を視野に約600億ドル以上の資金調達を検討
OpenAIは、早ければ2026年後半に米証券規制当局へのIPO申請を行う方向で初期段階の協議を進めていると、ロイターが関係者からの話として報じた。
関係筋によれば、調達額は最低でも600億ドル規模を想定しており、状況次第ではそれを大きく上回る可能性があるという。
この背景には、同社の急速な成長とAIインフラへの巨額投資の必要性がある。
売上高の年間ランレートが200億ドル規模に達するとの予測も出ており、同時に損失の拡大も報じられている。
また、同社はマイクロソフトへの依存度を下げる組織再編を完了しており、IPOの実施によって資金調達や買収戦略の選択肢が広がる可能性がある。
ただし、関係者は「計画は初期段階」であり、調達額や時期は事業成長や市場環境によって一定の変更余地があると強調している。
資金調達加速と倫理リスクのはざまで揺れるAI業界
OpenAIのIPO構想は、AI市場の資金循環を拡大させる好機となる可能性がある。
最大の利点は、公開市場を通じて巨額の資金を調達できる点にあり、これまで制約のあったインフラ投資やAIモデルの高速開発が一層加速することが見込まれる。
特に、半導体やデータセンターの確保競争が激化する中で、IPOによる資金力強化は同社の競争優位性を維持する武器になり得るだろう。
また、上場により企業統治の透明性が高まれば、社会的信頼の獲得にも寄与すると考えられる。
しかし一方で、IPOによる市場プレッシャーは避けられない。
短期的な業績期待が高まる中、研究開発への長期投資が後回しにされるリスクもある。
さらに、AIの倫理的課題やコスト構造の重さは依然として解消されておらず、投資家心理を不安定にさせる要因となり得る。
今後は、OpenAIがいかにして「社会的責任」と「持続的成長」を両立できるかが焦点となるだろう。
もしこのIPOが成功裏に進めば、AI関連企業全体の評価基準が変わり、収益性だけでなく、信頼性や倫理性を軸にした新たな成長モデルが形成される可能性がある。
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