イーサリアム「Fusaka」でEIP-7825実装 取引ガス上限を約1,680万に制限

2025年10月21日、Ethereum(イーサリアム)が次期大型アップグレード「Fusaka」にて、1取引あたりのガス使用量に上限を設ける提案「EIP‑7825」を導入すると発表した。
発信元はEthereum Foundationの公式ブログである。
取引あたり約1,680万ガスに上限 フサカでプロトコル変更
イーサリアム財団は、FusakaにてEIP-7825を実装し、1取引に使用できるガス(※)量を最大で約1,680万ガスに制限すると明らかにした。
この制限はすでにテストネットであるHoleskyおよびSepoliaで適用済みであり、メインネットへの適用はFusaka本実装と同時を予定している。
従来の仕様では、ブロック全体のガス上限(約4,500万ガス)に匹敵する量を1つの取引が消費可能であったため、単一の取引がブロックを占有し、他の処理を圧迫するリスクが指摘されていた。
なおこの改正は、ブロック全体のガス上限には影響せず、あくまで個別取引の使用量上限のみを設定する。
普通の送金やスワップ等では上限に達するケースは少なく、一般利用者の影響は限定的とみられている。
一方、複数処理をまとめるスマートコントラクトや大規模なデプロイスクリプトでは注意が必要だ。
※ガス(Gas): イーサリアムネットワークにおいて、取引処理に必要な計算・ストレージ作業に対して支払われる手数料の単位。
Fusakaが切り開く「マルチスレッド型ブロックチェーン」への道
EIP-7825の導入は、取引単位でガス使用量に上限を設けることで、ネットワーク全体の安定性と公平性を高める施策になるとみられる。
これにより、単一取引によるブロック独占が抑制され、トランザクション詰まりやガス代の急騰を回避できる点は大きなメリットだろう。
処理が均等化されることで、小規模な送金やスマートコントラクトの実行がより滑らかになり、L2ソリューションの活用促進やスループット向上にも寄与すると予想できる。
一方で、開発者側にとっては課題も少なくない。
とくに、複雑なバッチ処理や大規模コントラクトを扱うDAppでは、ガス見積もりやトランザクション構造の見直しが求められる可能性がある。
既存コードの互換性検証には時間とコストを要し、テストネットでの綿密な検証が不可欠になるだろう。
ただし、こうした調整期間を経ることで、イーサリアムは並行実行やモジュラー化に向けた進化をさらに加速させると考えられる。
取引単位の細分化は、将来的なパラレル処理やロールアップ連携の土台となり、結果的にWeb3全体の処理効率と開発の柔軟性を高める布石となる可能性が高い。
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