Coinbase、約3億7,500万ドルでEchoを買収 オンチェーン資金調達市場に本格参入

2025年10月21日、米大手暗号資産取引所 Coinbase が、コミュニティ主導の資金調達プラットフォーム「Echo」を約3億7,500万ドル(現金および株式を組み合わせ)で買収したと発表した。
コインベース、Echo買収でオンチェーン資金調達に本格参入
Coinbaseは、Echoの買収を通じて、「オンチェーン(※1)資本形成」領域への取り組みを本格化させる方針を示した。
Echoは、プロジェクトのコミュニティがトークンセールを通じて資金を調達できるプラットフォームで、プライベートトークンセールと自己ホスト型のパブリックトークンセールを可能とする。
ローンチ以来、約300件の取引を通じて累計2億ドル超の資金調達を支援してきたという。
買収額は約3億7,500万ドルで、現金と株式の組み合わせとされる。
Coinbase側は、Echoの提供する「Sonar」というパブリック販売ツールをまず統合し、その後トークン化証券や実物資産(RWA)支援へと段階的に拡大する意向を示している。
この買収は、7月に同社が買収したトークン管理プラットフォーム Liquifi とシナジーを見込むものであり、トークン発行・キャップテーブル(※2)管理から資金調達、セカンダリー取引まで、プロジェクトのライフサイクル全体を一気通貫で支援する体制を整える狙いである。
※1オンチェーン:ブロックチェーン上で直接実行・記録される取引・活動を指す。
※2キャップテーブル:株式やトークンの保有構成、流通・ロックアップ・受取権確定(ベスティング)状況などを管理する台帳機能。
オンチェーン資本市場の再編と課題
CoinbaseによるEchoの買収は、オンチェーン資金調達の効率化とアクセス拡大を促す契機となるだろう。
取引所・カストディ・上場支援に加え、資金形成の初期段階を包括できる点は、Web3経済圏における資本の流れを一段と滑らかにする。
これにより、スタートアップは中間業者を介さずに資金調達が可能となり、個人投資家もより透明で公平な市場に参加できるとみられる。
資金循環の分散化が進めば、Web3エコシステム全体の成長を底上げする可能性がある。
一方で、規制対応は避けて通れない課題となる。
特に、トークン化証券やRWA領域への展開は各国の金融法と密接に関わるため、法的整備が追いつかなければ市場の混乱を招くおそれがある。
また、買収後の技術統合や相互運用性確保には相応のコストがかかり、短期的には収益圧力となる可能性もある。
今後は、Echoの資金調達基盤とLiquifiのキャップテーブル管理を統合し、トークン発行からガバナンスまでを包括的に支援する構想が進むとみられる。
法制度との整合と信頼性の高いKYC/AML基盤を確立できれば、Coinbaseは「オンチェーン資本市場の中核」として新たな役割を担う可能性が高い。
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