東京都、子育て相談窓口「ギュッとチャット」本格稼働 回線拡充とAI機能で支援強化

2025年10月17日、東京都は子供や子育て家庭の不安や悩みに寄り添うオンライン相談窓口「子供・子育てメンター“ギュッとチャット”」の本稼働を20日に開始することを発表した。
AIを活用した新機能を導入し、より多様な家庭が安心して相談できる体制を整えた。
AI導入と回線拡充で「気軽に話せる相談窓口」へ
東京都が運営する「ギュッとチャット」は、匿名・無料で利用できるチャット型相談サービスである。
対象は都内在住・在勤・在学の18歳までの子どもとその保護者で、スマートフォンやタブレット、学校端末などからアクセスできる。
これまで試験運用として今年1月から稼働しており、心理士や保健師ら専門家による約5,000件の相談に対応してきた。
今回の本格稼働にあわせて、相談回線を9回線へ倍増し、利用者がアクセスしやすい体制を整えた。
相談時間は毎日15時から22時まで、当日受付は21時30分まで可能とした。
予約制で同じメンターに継続相談できる仕組みも導入し、「一度きりで終わらない支援」を重視している。
さらに、AIによる「相談相手おすすめ機能(AIレコメンド)」と「チャットボット(AIチャット)」を追加。
AIレコメンド機能では、相談テーマに応じて適切なメンターを提示し、AIチャット機能では、入力内容に基づき最適な相談対応カードを自動選択して応答する仕組みを導入した。
また、Webサイトは英語・中国語・韓国語の3言語に対応し、チャット内容はGoogle翻訳機能で他言語にも変換可能となった。
ギュッとチャットが描く、相談支援の未来像
ギュッとチャットの今後は、行政サービスのデジタル化を象徴するモデルケースとして発展していく可能性が高い。
AIが一次対応を担うことで、これまで相談窓口まで辿り着けなかった子どもや保護者にも支援の輪が広がりつつあるだろう。
今後は、利用データをもとに相談内容を体系化し、地域や年齢層に応じた個別最適なサポートへと発展していくことが期待できる。
一方で、AIが苦手とする「感情の機微」への対応は引き続き課題となりそうだ。
人間の専門家がどの段階で介入すべきか、その判断基準を明確にしなければ、相談者の信頼を損なうリスクもある。
また、匿名性とデータ活用の両立には、透明性の高い運用体制が求められることが予想できる。
将来的には、AI相談の経験を教育・福祉・医療など他領域へ横展開し、子ども支援のDX基盤として発展する可能性もある。
ギュッとチャットが「悩みを話せる社会インフラ」として定着するかどうかは、AIと人間の協働モデルをどこまで洗練できるかにかかっているだろう。
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