IG証券、国内で暗号資産ETFのCFD取引を提供開始 ブラックロックを原資産に

2025年9月30日、IG証券は米資産運用大手ブラックロックが運用する暗号資産ETFを原資産としたCFD取引(差金決済取引)の提供開始を発表した。
ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の現物ETFを対象に、国内投資家に新たな暗号資産投資の選択肢を提示する。
IG証券が暗号資産ETFのCFD提供を開始 原資産はIBITとETHA
英金融グループIGの日本法人であるIG証券は、ブラックロックが運用する2つの暗号資産ETFを原資産とするCFD(差金決済取引 ※)の提供を国内で開始した。
対象はビットコイン現物ETF「i シェアーズ ビットコイン トラスト ETF(IBIT)」と、イーサリアム現物ETF「i シェアーズ イーサリアム トラスト ETF(ETHA)」の2銘柄である。
CFD取引はETFの値動きに連動する価格差を取引する仕組みで、実際にETFを保有せず、売買価格の差額のみを決済する。
最大5倍のレバレッジが適用可能となる。現物ETFそのものが取引されるわけではないが、投資家は暗号資産の価格変動に連動したエクスポージャーを得ることができる。
なお、CFD取引による所得は申告分離課税の対象であり、税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)となる。
一方で、暗号資産の現物取引は総合課税の対象となるため、課税方式の違いが投資家にとっての注目点となりそうだ。
※CFD(差金決済取引):実際の資産を保有せず、売買価格の差額で損益を決済する金融取引。少額資金で大きなポジションを取れる一方、価格変動リスクも高い。
制度整備と投資家教育が鍵 “投資としての暗号資産”へ移行期に
今後、IG証券による暗号資産ETFを原資産とするCFD提供は、国内金融市場におけるデジタル資産の制度的受容を促進する可能性がある。
暗号資産現物ETFの国内上場が依然として認められていない中で、CFDは投資家が暗号資産の価格変動にアクセスできる数少ない合法的手段となりそうだ。
特に、少額から参入できる点や分離課税による透明な税制優位は、従来の暗号資産取引に比べて投資対象としての安定感を高めるだろう。
証券会社を介した取引という信頼性も、個人投資家層の拡大につながる可能性がある。
一方で、レバレッジ取引の普及が市場の短期化や価格変動リスクを助長する懸念もある。
過熱相場が繰り返されれば、暗号資産の「投機的資産」としてのイメージが再び強まる恐れも否めない。
したがって、今後の焦点は制度設計と教育に移るだろう。
適切なレバレッジ規制と投資家保護策が整備されれば、CFD市場は日本の暗号資産取引を「投資の枠組み」へと押し上げる役割を果たすと考えられる。
長期的には、今回の取り組みが現物ETFの国内解禁に向けた市場環境の成熟を後押しする可能性が高い。
IG証券 ニュースリリース:https://www.ig.com/jp/news
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