グレースケール、イーサリアムETPでステーキング開始 新たな利回り機会に注目

2025年10月6日、米暗号資産運用大手グレースケール(Grayscale)は、イーサリアム(ETH)現物ETP2銘柄とソラナ(SOL)信託型商品の合計3商品にステーキング機能を導入したと発表した。
3商品にステーキング導入 米国初のETH現物ETPモデル
グレースケールが新たにステーキング(※)機能を追加したのは、「Grayscale Ethereum Trust ETF(ETHE)」「Grayscale Ethereum Mini Trust ETF(ETH)」「Grayscale Solana Trust(GSOL)」の3商品である。
特にETHEとETHはETH現物を裏付け資産とする米国初のETPである。
同社は発表資料で、投資家が暗号資産を自ら保有・管理することなく、ETPを通じてブロックチェーンのステーキング報酬へ間接的にアクセスできる点を強調した。
これにより、機関投資家や個人投資家の双方に新たな収益機会を提供するとしている。
オンチェーン分析企業Lookonchainは7日、両イーサリアムETPはすでに3万2,000ETH(約226億円)をステーキングしていると報告した。
GSOLについては現在OTCQX市場で取引されており、今後のETP上場承認を待つ段階にある。
「Grayscale Ethereum Trust ETF」と「Grayscale Ethereum Mini Trust ETF」は、いずれも1940年投資会社法に基づく登録商品ではなく、従来の信託構造を維持したままステーキング機能を追加している。
これにより、従来の保有型商品にステーキング報酬を得られる仕組みが加わった。
※ステーキング:ブロックチェーンの取引検証やブロック生成に資産を預け、ネットワーク運営に貢献することで報酬を得る仕組み。
https://plus-web3.com/media/staking/
報酬型ETPの拡大がもたらす機会と課題
今後、グレースケールによるステーキング機能の導入は、単なる利回り拡大の枠を超え、暗号資産ETF市場全体の構造転換を促す可能性がある。
特に、PoS型チェーンを裏付けとする現物ETPが普及すれば、これまで株式や債券中心だった機関投資の分散戦略に新たな選択肢をもたらすだろう。
GSOLの正式上場や他社ETPへの拡張が進めば、ステーキング報酬の設計や手数料体系の透明性が競争要因となり、投資家保護を意識した業界標準の整備が加速する可能性が高い。
一方で、ステーキング報酬の扱いを「配当」とみなすか「ネットワーク報酬」とみなすかといった法的整理は、今後の制度設計を左右する重要な論点となると考えられる。
SECによる監視強化の下で、運用会社には報酬構造やリスク開示の透明性、説明責任の両立が求められそうだ。
すでにREX-Ospreyが提供する「ETH+Staking ETF」などの類似商品が登場しており、競争環境は激化しているとみられる。
今後はGSOLの上場承認動向をはじめ、ステーキング機能を備えたETPがどこまで市場に浸透するかが焦点となるだろう。
グレースケール プレスリリース:https://www.globenewswire.com/news-release/2025/10/06/3161548/0/en/Grayscale-Launches-First-Staking-Spot-Crypto-ETPs-in-U-S.html
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