イーサリアム財団、1,000ETHをステーブルコインに換金 運営資金確保で議論呼ぶ

2025年10月4日、イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)は、保有する1,000ETHをステーブルコインに換金すると発表した。
研究開発や助成金などの資金調達に充てる方針だが、市場では賛否の声が上がっている。
1,000ETHを換金 財務ポリシーに沿った資産調整策
EFは分散型取引所(DEX ※1)カウスワップ(CoWSwap)のTWAP(時間加重平均価格)機能を利用し、1,000ETHをステーブルコインへ換金する。
得られた資金は研究開発や寄付、エコシステム支援などに充てられ、DeFi(※2)の有用性を示す目的も含まれるという。
EFは9月にも10,000ETHを中央集権型取引所で売却することを発表しており、今回もその延長線上にあるとみられる。
今回の換金は、2025年6月に公表された財務ポリシーに基づく定期的な資産調整の一環である。
同ポリシーでは年間運営費を全財務の15%に抑え、2.5年分の準備金を確保する仕組みを定めている。
発表を受け、X(旧Twitter)上では「ETHを売却せず、DeFiで担保借入を行うべき」「リテール市場でのTWAPより、ETH財務戦略企業とOTC(相対取引)で取引すべき」といった意見が飛び交った。
一方、イーサリアム価格は6日から7日にかけて上昇し、高値圏で安定した動きを見せていた。記事執筆時点(10月6日11時38分)には4,492ドル(約68万円)となっている。
※1 DEX(分散型取引所):中央管理者を介さず、ブロックチェーン上で暗号資産を直接取引できる仕組み。https://plus-web3.com/media/dex/
※2 DeFi(分散型金融):ブロックチェーン技術を活用し、銀行や証券会社などの中央管理者を介さずに、ユーザー同士が直接取引(送金・融資・資産運用など)を行える金融の仕組み。https://plus-web3.com/media/defi/
イーサリアム財団の資産戦略 透明性と柔軟性の両立が焦点
イーサリアム財団がETHをステーブルコインに換金した背景には、財務健全化を図る意図があるとみられる。
年間の運営費を管理しながら準備金を確保する方針は、長期的な資金安定性を重視した制度設計として位置づけられるだろう。
一方で、強気相場下での換金は「利益確定」と受け取られかねず、投資家心理への影響は避けられないと考えられる。
長期的な安定性を志向する方針と、短期的な利益確定の印象との間にギャップが生じる可能性もある。
特に6月・9月に続く売却が相次ぐ中で、資産運用方針の一貫性や透明性をどう担保するかが問われるだろう。
8月の助成金申請の受付一時停止も示すように、支出管理の厳格化は必要だが、支援活動との両立が課題として残る。
今後は市場環境に応じて財務戦略を柔軟化しつつ、ETH保有の意義を再定義することが求められるだろう。
資金安定化と信頼性の両立をいかに果たすかが、エコシステム全体の持続性を左右すると言える。
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