カナダ当局、クーコインに21億円罰金 マネーロンダリング対策違反で対立

2025年9月25日、カナダの金融取引情報分析センター「フィントラック(FINTRAC)」は、暗号資産取引所クーコイン(KuCoin)に対し、マネーロンダリングおよびテロ資金供与防止法違反を理由に1,955万2,000カナダドル(約21億円)の罰金を科したと発表した。
登録義務違反や報告漏れが罰金の理由に
フィントラックは、クーコインの運営会社ペケン・グローバル・リミテッド(Peken Global Limited)がカナダ国内で外国マネーサービス事業者として活動しながら、当局への登録を行っていなかったと指摘した。
さらに、1万カナダドル以上の暗号資産取引に関する報告義務を履行しておらず、マネーロンダリングやテロ資金供与の疑いがある取引について提出が求められる「疑わしい取引報告(STR)」も怠っていたとされる。
この罰金は2025年7月28日付で正式に科されており、フィントラックが発表した違反通知の一環となる。
当局は2024年から2025年にかけて過去最多の23件に違反通知を出しており、総額は2,500万カナダドルを超えている。
クーコインは同日、直ちに異議を申し立てたと表明した。
フィントラックの調査結果や科された罰金に強く反発し、自社は外国マネーサービス事業者には該当しないと主張している。
今後は法的手続きを通じて争う姿勢を示している。
なお、ユーザーへのサービス提供や資産保護には影響がないとし、通常通りの運営を続ける方針を明らかにした。
規制強化で事業者の負担増 暗号資産市場に広がる波紋
今回の決定は、暗号資産取引所の規制遵守に対する国際的な潮流を反映しているといえる。
特に北米や欧州では、資金洗浄防止(AML)やテロ資金供与対策(CFT)に関連する規制が強化される傾向にあり、事業者に求められるコンプライアンス体制の水準は年々厳格化しているとされる。
カナダ当局が示した高額の罰金は、他の事業者に対しても強い警告となる可能性がある。
一方で、過度な規制強化は市場の萎縮を招くリスクもある。
罰金や登録義務違反の追及が相次げば、新規事業者が参入をためらう要因となり、イノベーションの停滞やユーザー選択肢の縮小につながりかねない。
クーコインのような大手取引所ですら当局と対立する構図は、暗号資産業界全体の不安定要因として投資家心理に影響を与えると考えられる。
もっとも、透明性と信頼性を確保することは、市場の健全化には不可欠である。
特に資金流入が急増する暗号資産市場では、犯罪利用を防ぐ仕組みが国際的に求められており、カナダの姿勢は一定の合理性を持つ。
今後の焦点は、クーコインの法的対応がどのような判決や合意に至るかであり、それが他の事業者にどのような規範をもたらすのかだろう。
カナダ政府 ニュースリリース:https://fintrac-canafe.canada.ca/new-neuf/nr/2025-09-25-eng
クーコイン プレスリリース:https://www.prnewswire.com/news-releases/kucoin-appeals-fintrac-decision-reaffirms-commitment-to-compliance-302567410.html
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