生成AI支える「ガラスクロス」新工場が福島に誕生へ　日東紡績が起工式

2025年9月17日、日東紡績は福島市で新工場の起工式を実施した。
生成AI向け半導体に欠かせない「ガラスクロス」を製造する拠点であり、2026年12月の完成を予定している。

生成AI需要に対応　福島で新工場起工

福島市に新たに建設されるのは、AIサーバー用半導体の素材となる「ガラスクロス」を生産する工場である。
ガラスクロスはガラス繊維を織り上げた布で、半導体基板に用いられる重要な素材だ。
生成AIの利用拡大に伴い半導体需要が急増しており、その供給を支えるために工場の整備が進められている。

17日に行われた起工式には関係者約40人が参列し、神事を通じて工事の安全を祈願した。
日東紡績の多田弘行社長は「福島という拠点をこれまで以上に大きくして、世界中のユーザーにしっかりとした品質の製品を届けることで貢献できれば」と述べ、同社の成長戦略における拠点強化の意義を強調した。
工場は2026年12月に竣工し、翌年1月から試運転を開始する計画である。

半導体供給網の強化と地域経済への波及効果

福島に建設される新工場は、日本の半導体供給力を強化する戦略拠点となる見込みだ。
生成AIの拡大に伴う半導体需要を国内で吸収できることは、供給網の安定化や地政学リスクの低減につながるとみられる。
加えて、雇用創出や関連産業の活性化を通じて地域経済を押し上げる効果も期待できるだろう。

一方で、国際的な素材産業は価格変動や需要変化が激しく、市況次第で投資リスクが高まる懸念も残る。
生成AI市場の成長が鈍化すれば、設備投資が過剰化する可能性も否定できない。
そのため、多角的な用途開発や国際連携を進め、次世代通信やエネルギー分野など幅広い領域への展開が欠かせないだろう。

2026年末の完成後、日東紡績が柔軟な戦略を描けるかが、日本の半導体産業再生と世界市場での存在感を左右することになりそうだ。

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