徳島県、KDDIと防災協定締結 AIドローンで行方不明者捜索へ

2025年9月10日、徳島県は大手通信会社KDDIと防災分野での協定を締結した。
南海トラフ巨大地震などの大規模災害を想定し、AI搭載ドローンを活用した被害状況把握や行方不明者捜索を行う体制を構築する計画である。
AIドローンと衛星通信で災害時の即応体制を構築
締結式には後藤田正純知事とKDDIの松田浩路CEOが出席し、協定書に署名した。
協定により、KDDIの通信網を活用し、AIドローンを遠隔操作する仕組みを導入する。
これにより、災害時に空からの被害把握や行方不明者の探索、さらにスピーカーを通じた避難誘導が可能となる。
拠点整備の一環として、県内の公共施設やコンビニ大手ローソンの店舗をドローンの発着場として利用し、衛星通信サービス「スターリンク(※)」を配備する。
これにより通信環境が確保され、災害時の通信途絶リスクを軽減できる。
県の試算では、約20か所に拠点を置けば10分以内に県内全域を把握できるとしている。
県とKDDIは2025年度中に、県南部沿岸地域で実証実験を実施し、運用体制の検証を進める予定だ。
※スターリンク:米スペースX社が運用する衛星通信サービス。
地域防災のモデルケースへ 期待と課題が交錯
AIドローンの導入は、被害確認や人命救助の精度を高め、従来より迅速な初動対応を可能にする可能性がある。
従来は地上で時間を要していた被害把握が短時間で行えるようになれば、災害対応の効率化に直結すると考えられる。
さらに、衛星通信を併用すれば、通信網が寸断された場合でも稼働できる仕組みを備えることができるだろう。
一方で、導入や維持に伴う財政的負担、拠点整備における住民や企業の協力、AIによる誤検知のリスク、プライバシー懸念といった課題も想定できる。
とはいえ、徳島県とKDDIの取り組みは、地方自治体が通信大手と連携して先端技術を防災に活用するモデルケースとなる可能性がある。
実効性と持続可能性が確保されれば、他県への波及も期待できるだろう。
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