カザフスタン、トカエフ大統領が「仮想通貨準備金」創設を主張

2025年9月8日、カザフスタンのカスムジョマルト・トカエフ大統領は演説で、仮想通貨準備金の創設が必要だと主張した。
マイニング大国としての地位を踏まえ、国家レベルでデジタル資産を備蓄すべきだと述べた。
トカエフ大統領、仮想通貨準備金の早期創設を提案
トカエフ大統領は8日の演説で、時代背景を踏まえた新たな金融戦略の一環として、仮想通貨やデジタル資産を国家準備金に組み込むべきだと述べた。
公式サイトによれば、演説はAI(人工知能)や銀行資金の流通効率化など広範なテーマに及んでおり、その中で仮想通貨の役割を明確に位置づけた。
大統領は2025年末までに関連法を整備し、デジタル資産の流通自由化を進める必要があると指摘した。
また、できるだけ早く本格的なエコシステムを構築し、経済全体に資金を効果的に循環させる仕組みを整備することが重要だとも訴えた。
すでにカザフスタン中央銀行のティムール・スレイメノフ総裁は6月、国家仮想通貨準備金(※)の創設を発表している。
当初の計画では、犯罪事件で押収した資産や国営マイニング事業で採掘したビットコイン(BTC)を活用する案が示されていた。
トカエフ氏の今回の演説では、アラタウ市を先行都市としてデジタル資産の実用化を進める構想も語られた。
アラタウは国際的なハブとして成長を目指す拠点であり、仮想通貨決済の普及実験地になる可能性が高い。
※仮想通貨準備金:国家が外貨準備と同様に、暗号資産を備蓄して財政や通貨の安定に活用する仕組み。
価格上昇の恩恵から制度定着まで カザフスタン構想の行方
カザフスタン大統領による仮想通貨準備金構想は、今後の展開を左右する複数のシナリオを孕んでいると考えられる。
短期的には、価格上昇局面で国家が直接的な恩恵を得られる可能性がある。
資源国としてマイニング基盤を持つ同国にとって、自国産デジタル資産の備蓄は外貨準備の多様化につながると推測できる。
アラタウ市を先行都市に指定する方針も、都市開発とデジタル経済を結ぶ試金石となり得る。2025年末までに関連法を整備できるかどうかが最初の関門となるだろう。
中期的には、他の新興国の動きと連動する展開が予測できる。
米国やブラジルなどが備蓄を検討するなか、カザフスタンが先行すれば地域的リーダーシップを確立する契機となるだろう。
ただし、IMFなどとの摩擦を避け、透明性を確保できるかが制度運用の前提条件になりそうだ。
長期的には、仮想通貨を外貨準備に準ずる存在として制度定着できるかが焦点になると考えられる。
価格変動リスクを抑えつつ国際的な合意形成を進められれば、新たな財政モデルを提示できるだろう。
一方で調整に失敗すれば金融政策は不安定化し、他国への影響も限定的にとどまると推測できる。
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