専門医も驚くAI内視鏡診断 北海道発スタートアップが精度9割に迫る技術を開発

2025年9月6日、札幌の北大発スタートアップ・サンクレエが旭川医科大学と共同開発するAI内視鏡診断システムについて、テレビ北海道が報じた。
潰瘍性大腸炎やクローン病を90%近い精度で自動判定できるという。
AIが内視鏡画像を自動判定 医師不足解消への期待も
サンクレエは、旭川医科大学と協力し、内視鏡画像を用いたAI診断システムの開発を進めている。対象の画像を選び「判定」ボタンを押すとAIが疾患を推定する仕組みだ。
これまでに約3000枚の画像を学習させ、潰瘍性大腸炎やクローン病の診断精度を高めてきた。
旭川医大によれば、その精度は90%近くに達しているという。
臨床現場では、症例によっては専門医であっても診断が難しいケースが少なくない。
旭川医科大学の安藤勝祥助教は「潰瘍性大腸炎か悩ましい症例であったり、その他の感染性腸炎など別な病気か判別が悩ましいといった症例が日常でも実際出くわしますのでこういったシステムは有用性があるかなと思います」と語る。
さらにサンクレエは、医療以外の領域にもAIを応用している。
北海道羅臼町ではヒグマ対策に同社のAIを導入し、センサーカメラや赤外線ドローンで人里に出没する熊を検知できる仕組みを構築した。
森正人社長は「AIの技術があって、この技術を何か使えないかなと探すのではなく、課題を解決するという仕事をずっとやってきた。道具がAIに変わってきたというような捉え方をしている」と語り、医療から環境保全まで幅広い分野での実用化を推し進めている。
潰瘍性大腸炎も高精度判定 北海道発AIが医療DXを加速する可能性
AIによる内視鏡診断システムは、今後、専門医でも判断が難しい症例を補完する技術として浸透する可能性がある。
潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患は診断が難しく、AIが高精度で判定できれば、医師不足が深刻な地方で有効だろう。
画像解析による迅速な診断は治療開始を早め、患者の予後改善にも寄与すると考えられる。
さらに、ヒグマ対策のように医療以外へ広がれば、AIが社会課題解決を支える技術として期待できる。
ただし、誤判定やデータ偏りのリスク、導入コストや維持負担は課題だろう。
小規模病院には普及の壁となり、AI依存で医師の診断力が弱まる懸念も残る。
こうした課題を克服できなければ、導入は限定的にとどまる可能性がある。
一方で、全国的に普及すれば専門医不足の地域でもセカンドオピニオン的に活用でき、医療格差の是正につながるだろう。
加えて、消化器疾患やがん検診に応用が広がれば、診断精度や網羅性はさらに高まる。
ただし、保険適用の可否や誤診時の責任所在といった制度設計が整わなければ、普及は進まないと推測できる。
それでも医療以外での成功例が積み重なれば「地域課題を解決する技術」として評価が高まり、北海道発の取り組みが全国へ広がる可能性がある。
AIを社会課題に応じて活用するモデルが標準化されれば、医療DXを含む幅広い領域で展開できるだろう。
2025年9月6日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」:https://youtu.be/OC_ysAykqqE?si=DNgeAO27Xo71PlF0
株式会社サンクレエ ウェブサイト:https://www.suncreer.co.jp/
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