Google、学習ガイド「Gemini パスポート」を公開 小中学生がAIと学ぶ時代へ

2025年9月5日、グーグル合同会社が生成AI「Gemini」を教育に活用するための学習ガイド「Gemini パスポート」をWeb上で公開したと報道された。
対象は小学校4年生から中学校3年生で、安全な利用方法や具体的な事例を提示し、無料でダウンロードできる。
Google、小中学生対象にAI活用ガイドを提供
グーグルは「Gemini パスポート」と題したプロンプト集を公式サイトで公開した。
これは生成AIを学習に活用するための手引きで、小中学生を主な対象としている。
想定学年は小学校4年生から中学校3年生で、教育現場や家庭学習での利用を支援する内容だ。
ガイドでは、生成AIに指示を与える「プロンプト(※)」の作り方を具体例とともに紹介している。
学習課題の補助やアイデア発想を助ける応用方法も示されており、例題には「人物」「内容」「形式と語調」「制約」「例」の5種類を色分けしたマーカーが付され、構成がひと目で理解できる工夫が施されている。
さらに、安全に利用するためのルールも盛り込まれている。
誤情報への注意喚起やプライバシー保護の重要性を強調し、子どもが安心して生成AIを活用できる環境づくりを意識した設計となっている点が特徴だ。
公開資料は教育関係者や保護者への配慮も含まれており、AI利用の補助線としての役割を担う。
ガイドはPDF形式で無料配布されており、誰でもダウンロード可能だ。
※プロンプト:生成AIに指示を与える入力文のこと。適切に記述することでAIがより正確で有益な回答を生成できる。
生成AI活用の利点とリスク 子どもと教師に突きつけられる課題
「Gemini パスポート」最大の利点は、子どもが生成AIを安全に活用できる基盤を提供している点にあると言える。
プロンプト作成の具体例が示されることで、児童・生徒は受け身ではなく、能動的にAIを扱うことができるようになるだろう。
「Gemini パスポート」により学習効率や創造的思考が促進されれば、教育現場や家庭での柔軟な活用につながり得る。安全利用のルールが整備されている点も、保護者や教師の安心につながるとみられる。
ただし反対に、AIへの依存が強まれば、子どもの思考力が弱まり、誤情報をそのまま受け入れてしまう危険性が考えられる。
批判的思考の育成が阻害される懸念や、教師に新たなスキルが求められる制度的負担も予測できる。
短期的には、調べ学習や作文などの補助として浸透し、教育現場でのAI利用が加速すると考えられるが、中期的にはAIリテラシー教育が制度化されるかが焦点となり、教師への研修体制が重要視されるようになるだろう。
長期的には個別最適化学習への移行が進む一方で、格差や依存リスクの拡大も考えられる。
総じて、AIを「補助線」として活かせるかが、教育の方向性を左右する分水嶺になると推測できる。
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