米上院、クラリティ法案最新版でNFTとステーキングを証券対象外に

2025年9月6日、米上院銀行委員会は仮想通貨市場の規制枠組みを定めるクラリティ法案の最新版を公表した。
NFTやステーキングが原則として証券に該当しないことを明記し、既存トークンへの執行制限や新たな規制緩和が盛り込まれた。Foxビジネスの元記者などが報道した。
クラリティ法案がNFTとステーキングを証券分類から除外
上院銀行委員会が発表したクラリティ法案の最新版は、7月に提示された35ページの草案を大幅に拡張した内容となった。
NFT、ステーキング、エアドロップは詐欺的でない限り証券取引法の対象外とされ、過去に発行されたトークンについても施行前の取引に対する執行措置を制限する規定が追加された。
新版では、分散型物理インフラネットワーク(DePIN ※1)の証券法免除も明確化された。
さらに、NFTの提供や販売、譲渡も証券取引や投資契約の売却には該当しないと規定され、デジタル資産の法的地位に明確性を与える構造になっている。
開発者や事業者保護の観点からも注目できる。
セルフカストディ(※2)保護やDeFi関連の免除、ブロックチェーン規制確実性法の条項は維持され、バリデーターに対してはマネーロンダリング防止や詐欺防止コンプライアンス要件を免除する条文が盛り込まれた。
これにより、技術基盤を担うプレイヤーが過度な規制負担を回避できる設計となっている。
シンシア・ルミス上院議員は、感謝祭(11月)までにトランプ大統領の署名を得ることを目標に掲げ、すでに下院を通過した法案との統合調整を進めている。
※1 DePIN(分散型物理インフラネットワーク):分散型ネットワークで物理的インフラを構築・運用する仕組み。
※2 セルフカストディ:利用者自身が暗号資産を保管・管理する方式。
感謝祭署名が転機に 制度的安定か監視強化か
クラリティ法案の改訂は、米国のデジタル資産市場に短期的な活力を与える一方で、長期的には制度的課題を招く可能性がある。
NFTやステーキングが証券規制から外れることで、事業者は法的リスクを回避しやすくなり、開発者や投資家にとって米国市場が再び魅力的な拠点となる展開も想定できる。
セルフカストディやDeFi関連の免除も、分散型サービスの持続性を支えるだろう。
ただし、投資家保護が後追いになる懸念は残る。
NFTやステーキングが急速に投機対象化すれば、不正や詐欺が増え、監視の空白が問題視される可能性がある。
その場合、規制当局はガイドラインや開示制度を追加するとみられる。結果的に、規制緩和と監視強化が並行する「二重の進化」が進むだろう。
今後は、感謝祭までに大統領署名を得るかが節目になるとみられる。
成立すれば制度的安定感が高まり、資本流入や投資拡大を呼び込む契機になると考えられる。
しかし米国が規制の柔軟性と投資家保護の均衡をどう調整するかが、世界市場の指標として注目されるだろう。
今回の改訂は規制の成熟度を測る試金石となり、市場の方向性を決定づける分水嶺になると推測できる。
関連記事:米下院が仮想通貨規制3法案可決 ステーブルコインやCBDCに明確な指針
https://plus-web3.com/media/latestnews_1002_4308/