アシックスとTDK、センシングデバイス共同研究へ 動作をリアルタイム解析

2025年9月3日、アシックスとTDKは、アスリートの動作をリアルタイムに可視化する次世代センシングデバイスの共同研究を開始したと発表した。
まずは陸上競技を対象に実証実験を進め、2027年以降の実用化を目指すという。
アシックスとTDK、次世代センシングで競技力強化
アシックスとTDKは、トップアスリートの競技力向上を目指し、練習中の細かな動きを把握できるセンシングデバイス(※)の共同研究を開始した。
第1段階として陸上競技を対象に、足首などに装着できる小型プロトタイプを用いた実証実験を進める。
使用されるデバイスには、TDKが持つ高精度で小型化されたセンサー技術が搭載されており、アスリートの動作データをリアルタイムに解析する。
その結果を、アシックスが長年培ってきたスポーツ科学の知見と組み合わせることで、動作データを即座に可視化し、客観的なフィードバックとして提供するという。
これにより、技術向上やコンディション管理を支援する新たなソリューションの創出を目指す。
この取り組みによって、アスリートは自身のフォームやコンディションを客観的に把握でき、改善点をより具体的に理解することが可能になると期待される。
※センシングデバイス:人や物の動きを検知・計測する装置。
株式会社アシックス プレスリリース:https://corp.asics.com/jp/press/article/2025-09-03_tdk-joint_research
短期の実証から長期の社会実装へ 共同研究の展望
アシックスとTDKによるセンシングデバイスの共同研究は、今後のスポーツ科学やヘルスケアの在り方を変える可能性を秘めている。
短期的には、陸上競技を中心とした実証実験を通じて、フォーム分析やケガ予防の効果が検証されると考えられる。
特にトップアスリートの競技力強化を目的としたトレーニング現場では、導入が先行しやすいだろう。
中期的には、収集した膨大なデータがAI解析と結びつき、従来の経験則を超える新しいコーチング手法が確立される可能性がある。
その成果はシューズやスポーツ用具の開発にも波及し、個別最適化された製品設計や差別化戦略に直結することで、アシックスの競争力強化につながる展開が予想できる。
長期的には、この技術がスポーツ科学における国際的なスタンダードへと発展する可能性もある。
さらに競技現場を超えて、リハビリや高齢者の転倒防止といったヘルスケア分野に応用が広がれば、社会全体に及ぼす影響は一層大きなものとなるだろう。
ただし、リアルタイム解析を実現するには高度な技術が欠かせず、さらに選手データを扱ううえでは、プライバシー保護の仕組みを整えることが普及の速度を左右すると考えられる。
技術革新と倫理的なガバナンスの両立が、この取り組みの成否を分ける鍵になるだろう。
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