国土地理院、旧版紙地図をデータ化 9月1日からオンライン提供開始

2025年9月1日、国土地理院は旧版の紙地形図を画像データとして提供開始した。
対象は2万5千分1地形図および5万分1地形図の柾判地図で、1図葉610円(税込)にてオンライン販売する。
旧版の紙地図をTIFF形式で有料公開
国土地理院は、これまで紙媒体でしか利用できなかった旧版の地形図(※)を画像データ化し、9月1日から提供を始めた。
対象は2万5千分1および5万分1地形図のうち、柾判サイズで刊行されたものとなり、現行刊行中の地図は含まれない。
データは1図葉ごとに610円(税込)で提供され、TIFF形式でのダウンロードが可能である。
画像サイズは約460×580ミリで、解像度は600dpiが基本となる。
1991年以前に刊行された一部のモノクロ地図については、400dpiでの提供となり、順次600dpiに切り替える方針だ。
配色は元の印刷仕様に基づき、黒1色の地図はモノクロ、青や茶を用いた地図はカラーでの配布となる。
ファイル容量はカラーが100〜500MB、モノクロが1〜10MB程度となっている。
※地形図:国土地理院が作成する地図で、地形や地物を正確に表現する。
縮尺に応じて地形・建物・道路などの詳細度が異なる。
研究・地域振興への波及と課題 旧版地図データの未来像
今後の展望としては、旧版地図のデジタル提供が研究や教育現場で広く活用されていく可能性が高いだろう。
都市化の進展や災害リスクの評価など、社会的に重要なテーマに対して過去の地形データは有用であり、自治体が地域振興や観光資源の掘り起こしに応用するシナリオも考えられる。
また、AIによる自動解析やGISとの連携が進めば、従来は困難だった比較研究や地形変化の定量分析も容易になるだろう。
一方で、大容量データの取り扱いや利用コストの問題が解決されなければ、普及のスピードは限定的となる可能性もある。
それでも長期的には、歴史的地図を資源として再評価する動きが強まり、学術的価値だけでなく、産業や地域社会に還元される展開が見込まれる。
国土地理院 発表資料:https://www.gsi.go.jp/MAP/HISTORY/koufu.html
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