フィリピン議員、国家予算のブロックチェーン化法案を準備 透明性確保へ

2025年8月27日、フィリピンのバム・アキノ上院議員は、国家予算と金融取引をブロックチェーンで管理する法案を数週間以内に提出すると表明した。
透明性向上と国民監視の強化を狙い、同国での導入はアジアにおける先駆的な取り組みとなる見通しだ。
フィリピン議員、国家予算をブロックチェーン化へ
アキノ議員は27日、マニラ・テック・サミットにおいて、政府支出の透明性を高める目的で国家予算をブロックチェーン・プラットフォーム上で管理する法案を準備中であると発表した。
数週間以内の提出を予定しており、成立すれば公的資金の流れをリアルタイムで記録・公開できる仕組みが整うことになる。
同議員は「誰もが自分の取引をブロックチェーンに載せるほど愚かではないだろう。そこではすべてのステップが記録され、全市民に透明化されるからだ。しかし我々は始めたい」と述べ、国民が自ら予算執行を監視できる体制を目指す姿勢を示した。
SNS上でも「すべてのペソを透明で説明責任のあるものにする」と投稿した。
今回の動きは、予算管理省がポリゴン(※)を利用した文書検証システムを導入してから間を置かずに発表された。
この仕組みは偽造文書やディープフェイク対策を意図しており、デジタル行政の信頼性向上を狙ったものだ。
※ポリゴン:イーサリアムと互換性を持つブロックチェーンネットワークの一つ。
処理速度と手数料の低さが特徴。
民主主義強化のモデルか フィリピン予算ブロックチェーン化の行方
フィリピン議員による国家予算のブロックチェーン化構想は、今後の公共財政に転換点をもたらす可能性がある。
実現すれば財政の流れがリアルタイムで可視化され、汚職防止や政治への信頼回復につながるだろう。
監査効率や行政コスト削減も進み、国民に還元されるシナリオが想定できる。
民主主義の基盤を強化する新たなモデルとして、国際的評価を得る展開も考えられる。
一方で、制度や技術の整備が遅れれば導入は一部にとどまり、注目度は限定的になる恐れがある。
特に公開範囲の標準化やプライバシーとの両立は課題であり、対応を誤れば透明性が社会的リスクに転じかねないだろう。
持続的な運用体制を築けなければ、実証段階で停滞する展開も否定できない。
米国が経済統計をブロックチェーンで公開する動きを進めるなか、フィリピンが国家予算という最重要データに適用すれば、アジア各国の追随が見込まれる。
導入が成功すれば、説明責任を強化する国際的な基準づくりに影響を与え、公共財政と先端技術の融合をリードする可能性が高い。
しかしながら、導入が停滞すれば、世界的な潮流から取り残される懸念もある。
総じて、フィリピンの選択は、民主主義の進化と技術活用の方向性を占う試金石となるだろう。
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