グーグル、金融向け独自L1ブロックチェーンGCULを開発中 中立的基盤目指す

日本時間2025年8月27日、米グーグルの戦略責任者リッチ・ウィドマン氏は、同社が金融機関向けに独自のレイヤー1ブロックチェーン「GCUL(Google Cloud Universal Ledger)」を開発中であることを明らかにした。
現在はプライベートテストネット段階にあり、数十億ユーザーと数百の機関への展開を視野に入れている。
グーグル、独自L1「GCUL」を金融インフラに位置づけ
ウィドマン氏はリンクトイン上で、GCULがパイソン基盤のスマートコントラクトを備え、金融機関向けに設計された中立的インフラであると説明した。
グーグルの長年の研究開発の成果を結集したもので、信頼性と高性能を両立させたレイヤー1の提供を目指す。
すでに米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループなどがトークン化や決済の可能性を探るため、このユニバーサル・レジャーを試験活用している。
同社はGCULをプライベートテストネットで稼働させており、今後数か月内に技術仕様を段階的に公開する方針を示した。
グーグル規模のネットワーク効果を背景に、数十億人規模の利用者基盤と数百の機関パートナーを結びつける構想である。
ウィドマン氏は「テザー(USDT)はサークルのブロックチェーンを使わず、アディエン(決済プラットフォーム)もストライプのブロックチェーンを使わないだろうが、いかなる金融機関もGCULで構築可能だ」とコメントした。
グーグルの動きは、金融分野でのブロックチェーン活用が新たな局面に入ったことを示している。
同様の動きとして、米サークルは先日、自社発行のUSDCを基盤にしたレイヤー1「アーク」を発表した。
また、ストライプも独自の決済最適化チェーン「テンポ」を開発している。
※レイヤー1(L1):基盤となる独自ブロックチェーン。
イーサリアムやビットコインが代表例で、アプリケーションやスマートコントラクトの直接実行環境を提供する。
GCUL、中立的基盤としての受容が最大の焦点に
今後の展望として焦点となるのは、GCULが「中立的な共通基盤」としてどの程度受け入れられるかだろう。
従来の大手プラットフォームが自社囲い込みを優先してきた中で、金融機関に開かれた姿勢は参入障壁を下げ、エコシステム拡大につながる可能性がある。
加えて、グーグルの数十億人規模のユーザーベースやクラウド技術と結びつけば、信頼性と処理能力を兼ね備えた基盤に発展する展開も想定できる。
CMEによる試験導入が進む点も普及の追い風となるだろう。
一方、独自チェーンの乱立は選択の複雑さを生み、相互運用性の不足が流動性を分断しかねない。
国際金融では標準化が不可欠であり、グーグルの枠組みが単独で受け入れられるかは不透明だろう。
透明性やガバナンスが不十分であれば「中立性」も揺らぎ、各国規制の壁も大きな課題となる。
こうした中でGCULの行方は、テック企業主導の「金融インフラ競争」と重なっていくと考えられる。
サークルやストライプも独自チェーンを進めており、短期的には実証実験や限定利用が中心と見込まれるが、主要銀行や決済事業者が採用すれば業界標準へ浮上する可能性もある。
リッチ・ウィドマン氏のリンクトイン投稿:https://www.linkedin.com/posts/rich-widmann-a816a54b_all-this-talk-of-layer-1-blockchains-has-activity-7366124738848415744-7idA
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