SBI VCトレードと三井住友銀行、ステーブルコインの国内活用で共同検討開始

2025年8月22日、国内暗号資産取引所SBI VCトレードは、三井住友銀行と共同でステーブルコインの健全な流通と利活用に関する検討を開始すると発表した。
日本国内の決済や送金の効率化、新サービスの創出を視野に入れた取り組みとなる。
ステーブルコイン流通や新サービスを視野に共同検討
SBI VCトレードと三井住友銀行は、国内におけるステーブルコイン(※)の流通と利活用に関する共同検討を正式に開始した。
両社は「日本国内でのステーブルコイン流通」「既存金融機能の効率化・高度化」「新しい決済・運用サービスの創出」の3点を柱としている。
まず「日本国内でのステーブルコイン流通」では、信頼性の高い流通方式を構築することを目的とする。強固なセキュリティと柔軟性を備え、利用者が安心して利用できる環境を整えることが狙いだ。
次に「既存金融機能の効率化・高度化」では、ステーブルコインを活用した企業間取引ネットワークの形成を検討する。即時決済や24時間対応、低コスト化など、従来の金融機能を改善する要素が期待されている。
さらに「新しい決済・運用サービスの創出」では、ユーザーが負担なく利用できる仕組みの創出を目指す。
SBI VCトレードは2025年3月、電子決済手段等取引業者の登録を国内で初めて取得し、米ドル連動型のステーブルコインUSDCの取扱いを開始した実績を持つ。
一方、三井住友銀行も4月にAva LabsやFireblocksらとステーブルコイン利活用の共同検討を発表しており、ホールセール領域での決済利用を見据えて要件定義を進めてきた。
今回の提携は、両社の知見を結集し、利用者保護と利便性の両立を追求する取り組みと位置付けられる。
※ステーブルコイン:法定通貨や資産と価値を連動させ、価格変動を抑制した暗号資産の一種。決済や送金での安定性を目的に設計されている。
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金融機能刷新の契機か 利便性向上とリスクの両面
今回の共同検討は、国内金融に大きな影響を与える可能性がある。メリットとしては、決済や送金の即時性と低コスト化が挙げられるだろう。
企業間取引の効率化や個人利用の利便性向上につながり、キャッシュレス社会の進展を後押しすると期待できる。
また、新しい決済手段が浸透すれば、金融サービスの競争環境も活性化し、利用者の選択肢が広がると考えられる。
一方で、リスクも残る。
ステーブルコインは裏付け資産や発行主体の信頼性に依存しており、流通の拡大に伴い金融システム全体への影響も増大するだろう。
サイバー攻撃やシステム障害への備え、規制面での整備は欠かせないとみられる。
金融庁による監督体制の強化や利用者保護の枠組みが追いつかなければ、普及が停滞する恐れもある。
今後は、両社の検討結果が制度設計や市場形成に反映される可能性がある。
もし国内金融機関がステーブルコインを基盤とした新サービスを実現できれば、日本のデジタル金融は次の段階へ進むと考えられる。
ただし、そのためには技術面と規制面での課題を継続的に解決していく必要があるだろう。
SBI VCトレード株式会社プレスリリース:https://www.sbivc.co.jp/newsview/t_mu5i1mn
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