ニトロプラスが二次創作ガイドラインを明文化 「見本として1部の送付を希望」とファン活動を後押し

2025年8月18日、ゲーム制作会社ニトロプラス(東京都千代田区)は、同人誌をはじめとするファンによる二次創作活動について、過度な営利性がない限りファン活動として許容する方針をあらためて明言した。
同社は、「見本として1部を送付してほしい」とも呼びかけている。
二次創作ガイドラインを明確化、同人誌は「ファン活動」と判断
ニトロプラスはこれまで、フィギュアや痛車などの二次創作に関するガイドラインを公表してきたが、同人誌については「取引実態が多様であり一律適用が困難」として明確な扱いを示していなかった。
今回の発表は、そうした指摘に応える形で行われたものだ。
同社は、「創作性があること」「直接販売であること」「販売数量が200個以内であること」「売上予定額が10万円以下であること」などの条件を満たした活動については、従来通りファン活動の範囲内として認めると説明している。
これらの条件を超える場合には、アマチュア版権申請(※)によって正規ライセンスを取得する必要がある。
また、同人誌に限らずファンによる二次創作活動そのものを「応援しております」と主張し、「よろしければ見本として1部お送りいただければ幸いです」とのメッセージを添えた。
ニトロプラス公式
『二次創作活動における同人誌等の活動に関する取り扱いについて』
https://www.nitroplus.co.jp/company/license/fan-fiction/fanzine
※アマチュア版権申請:許可なく二次創作を販売することを防ぐために設けられた仕組みであり、一定の販売規模を超える場合にロイヤリティを支払った上で版権使用を認めるニトロプラスの制度。
二次創作の“公認化”が進む可能性 市場活性化と線引きの明確化に期待
今回の方針表明は、二次創作活動がコンテンツの認知拡大につながるという点を企業側が積極的に評価し始めた流れの一環と捉えられる。
創作販売の上限を明記したことで、二次創作者にとって「どこまでがファン活動として許容されるか」がより明確になったと言えるだろう。
今回の方針表明をきっかけとして、他のコンテンツ企業でも二次創作に関するガイドラインの明文化が進む可能性が高い。
特に、ファン活動を適切に管理しながら市場全体を活性化させる動きは、IPビジネスにとって合理的な判断と捉えられる。
ただし、“営利性”の定義や判断基準が曖昧なケースも多いため、創作者と企業の間で個別の調整を求められる場面も出てくるだろう。
ガイドラインの更新や運用の柔軟性が問われる局面も増える見通しであり、双方向のコミュニケーションが不可欠になると考えられる。
総じて、二次創作を前提としたコンテンツ戦略は今後さらに進展していくものの、創作者側にはガイドラインの理解と遵守がこれまで以上に求められるようになるだろう。
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