Spelldata調査、全国6都市でauが通信品質首位に 遅延・安定性も評価軸に

2025年8月14日、通信品質分析を手がけるSpelldataは、全国6都市で実施した国内4キャリアのモバイル回線比較レポートを公開した。
2025年7月の1カ月間に計測した結果、auが全地域で安定した品質を維持し、総合評価で1位となった。
全国6都市調査でauが安定首位、ソフトバンクと接戦も
Spelldataは、札幌・新潟・東京・名古屋・大阪・福岡の6都市に設置した計測センターで、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの通信品質を測定した。
調査期間は2025年7月1日から31日までで、Synthetic Monitoring(合成監視)(※)技術を用い、通信速度、応答速度(Ping)、パケットロス、ホップ数など多角的な指標を5分ごとにランダムなタイミングで取得した。
地域別では、札幌と新潟でauとソフトバンクが高水準を維持し、とくに新潟ではauが圧倒的な優位を示した。
東京と名古屋ではauとソフトバンクが僅差で競り合い、名古屋はauが最高品質を記録。
大阪と福岡でもauとソフトバンクが安定した結果を残した。
総合評価では、すべての地域で安定した品質を維持したauが1位となった。
一方、NTTドコモは札幌、名古屋、大阪、福岡で積分値が他社の2倍以上となり、ジッター(遅延時間のばらつき)やレイテンシ(応答速度)面で課題が目立った。
楽天モバイルは全地域でパケットロス率が極めて低く、安定性の高さで存在感を示していた。
※Synthetic Monitoring(合成監視):実際の利用者操作を模した仮想リクエストを送信し、応答時間やエラー発生率を測定する手法。
調査に関するプレスリリース:https://spelldata.co.jp/press_release/2025-08-14.html
多角的評価が通信競争を変える可能性 速度依存から総合品質重視へ
今後、Spelldataによる6都市・4キャリアの多角的な通信品質比較は、単一の速度測定に依存せず、遅延やパケットロスなど複数指標を組み合わせる手法として定着していく可能性が高い。
こうした評価軸の多様化は、利用環境やニーズに応じたキャリア選びを容易にし、契約判断の精度向上につながるだろう。
キャリア側にとっても、自社と競合の強弱がより明確化され、改善点の特定と品質向上への動機付けが強まる展開が予想できる。
一方で、測定期間や地域に偏りが生じれば、結果が全国的傾向を十分に反映できない可能性は残る。
さらに、ユーザーの体感品質は端末性能やアプリ利用状況にも影響されるため、数値だけで完全な評価はできないだろう。
将来的には、5Gエリアの全国展開や6G研究の加速に伴い、通信品質の優劣は固定的ではなく、流動的になると予想できる。
特に地方都市での品質差は契約者数やブランドイメージに直結するため、都市間格差の是正は重要な競争軸となるだろう。
また、産業IoTなど低遅延を前提とするサービスが普及すれば、通信市場は単なる速度競争から、遅延・安定性を含めた総合品質競争へとシフトする可能性が高い。
こうした変化に迅速かつ柔軟に対応できるキャリアこそが、次世代通信市場で主導権を握るかもしれない。
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