就活生の6割がAIでES作成 誤字脱字チェックに最多利用、通過率にも好影響か

2025年7月30日、株式会社Synergy Careerは、新卒就活生を対象に実施した「ES(エントリーシート)作成時におけるAI利用の実態調査」の結果を公表した。
63.0%がAIを使った経験があると回答し、目的は「誤字脱字・文法チェック」が最多だった。
ES作成でAI活用、6割超が「利用経験あり」
就活支援メディア「就活の教科書」を運営する株式会社Synergy Careerが、2026年および2027年卒の大学生を対象にES作成に関するAI活用実態を調査した。
その結果、63.0%が「AIを使ったことがある」と回答し、活用の浸透が明らかになった。
AIを「毎回利用している」(13.0%)、「ほとんどのESで利用している」(21.0%)と答えた層は計34.0%に達した一方、「使ったことがない」とした回答も37.0%と多く、利用状況は二極化していることがわかる。
利用目的として最も多かったのは「誤字脱字・文法チェック」(38.1%)で、次いで「文章のたたき台作成」(37.3%)、「自己分析・ネタ出し」(30.2%)と続いた。
文章の質向上や自己理解の補助など、AIは多面的に活用されている。
ESにAIを活用した就活生のうち、86.5%が選考通過率50%以上だった。その内「100%通過」とした人も21.4%であった。
他の要因も影響している可能性があるが、AIを活用した層では通過率の高さが目立った。
AIの積極活用が進む一方で、リスクへの認識も浮き彫りになった。調査では「AIを使ったことが人事にバレると思う」と回答した学生が55.5%にのぼった。
「バレない」とした44.5%と意見が分かれ、AI利用への不安や懸念も根強い。
「AIは補助か代行か」 ES作成の線引きが問われる時代へ
就活生の間でES作成におけるAI活用が急速に広がっていることは、文章作成支援のツールとしてのAIの有用性を如実に示しているだろう。
加えて、構成や発想の段階からAIを取り入れることで、非言語的な課題にもアプローチできる点は見逃せない。
文章の質が一定水準まで底上げされることにより、自信のなかった学生が積極的に応募できるという心理的効果も期待できる。
一方で、AIへの依存が深まることで「自分の言葉で書く力」が養われにくくなるという懸念も浮上している。AIによる文章でESの通過率が高まったとしても、それが学生本人の能力を正確に表しているとは限らないだろう。
また、自己分析など個人性が問われる部分までAIが代行するようになれば、公平性やオリジナリティの欠如が問題視される可能性もある。
今後は、ES作成におけるAI活用が「一般的な補助ツール」として定着していく一方で、どこまでを許容範囲とするかについて、企業・学生の双方で共通認識を築く必要が出てくるだろう。
将来的には、AIを“代行者”ではなく“協働パートナー”として位置づけるリテラシーが広がることで、公正性と効率性を両立させた新しい選考文化が形成されていくと考えられる。
参考元:https://reashu.com/report-ai-chatgpt-es/
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