オーストラリア、16歳未満のYouTube利用を禁止へ SNS規制法が対象拡大

2025年7月30日、オーストラリア政府は、16歳未満の子どもによるSNS利用を禁止する新たな法律の対象にYouTubeを含めると正式に発表した。
同法は、2025年12月に施行される予定で、有害コンテンツから未成年を守る目的がある。
YouTubeも規制対象に 16歳未満はアカウント作成禁止
オーストラリアのSNS規制法は、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、Facebookなど、主要SNSの利用を16歳未満に対して禁止する内容だった。
当初、YouTubeは対象外とされていたが、2025年7月30日、アンソニー・アルバニージー首相がYouTubeも規制対象に含める方針を表明した。
これにより、16歳未満はYouTubeへの動画投稿やアカウント作成が一切できなくなる。
違反があった場合、プラットフォーム運営企業には最大5,000万オーストラリアドル(約48億円)の罰金が科される可能性がある。
なお、視聴専用アプリ「YouTube Kids」は動画投稿やコメント機能がないため、対象外とされた。
一方で、YouTubeは教育用途や視聴のみでも利用される場面が多く、規制の実効性や影響範囲については議論が残っている。
また、YouTubeはアカウントを作成しなくても視聴が可能であるため、視聴制限の徹底には限界があると指摘されている。
Googleは「オーストラリア政府と対話を続けていく」とコメントを出しており、今後の調整に注目だ。
また、2023年以降、イギリスでも同様に16歳未満のSNS利用制限が検討されており、未成年とSNSの関係は国際的な政策課題となりつつある。
未成年保護は国際潮流か 禁止から「安全な利用」への転換も課題に
オーストラリア政府が進める16歳未満のYouTube利用禁止措置は、今後、未成年のオンライン環境に対する国際的な規制強化の先駆けとなる可能性がある。
とくに、有害コンテンツや誤情報、過激な投稿から子どもを守るという観点は、心理的・社会的リスクへの対処として各国で注目されつつあり、今後はOECD諸国を中心に類似の規制が相次ぐ展開も考えられるだろう。
また、生成AIやディープフェイクといった新たなリスクの拡大に伴い、未成年保護の枠組みを再構築する動きが今後さらに加速するとみられる。
一方で、単なる禁止措置だけではデジタル社会への適応力を育むには不十分とも言える。今後は「安全な利用環境の整備」と「リテラシー教育の充実」が並行して求められる展開が想定される。
YouTube Kidsのような代替プラットフォームの機能強化に加え、保護者や教育現場によるツール導入や運用支援も拡大し、制限と自由のバランスをとる動きが今後の国際的なスタンダードとなっていく可能性がある。
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