Xが権利侵害投稿の「削除申出窓口」を新設 7日以内に日本語対応で判断

2025年7月31日、米X(旧Twitter)は、日本の情報流通プラットフォーム対処法への対応として、権利侵害が疑われる投稿に関する「削除申出窓口」を開設したことを発表した。
日本語での対応を可能とし、申出から7日以内に対応可否を通知する体制を整えた。
日本語対応の削除窓口を新設、7日以内に結果通知
Xは、プラットフォーム上の権利侵害への対応強化を目的に、「削除申出窓口」を新設した。
対象となるのは、著作権や名誉毀損など、権利を侵害している可能性のある投稿であり、利用者は専用フォームを通じて日本語で申請できる。
新設窓口では、Xが設けた専任の日本語対応チームが対応にあたる。
申出が受理されると、原則7日以内に削除対応の可否を判断し、申請時に登録されたメールアドレスに通知される仕組みだ。
削除の可否は、Xの既存のルールとポリシーに基づいて行われる。
Xは引き続き「言論の自由を守るプラットフォーム」という立場を堅持するとしつつも、法的要請への対応として制度整備を進める姿勢を示している。
今回の措置は、2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法(※)に基づくものだ。
Xは同年4月30日「特定情報流通プラットフォーム事業者」に指定され、迅速な削除対応や運営状況の可視化が義務づけられていた。
※情報流通プラットフォーム対処法:2025年施行の新法。SNSなどの大規模情報流通事業者に対し、違法・有害情報への迅速対応や透明性確保、苦情対応体制の整備を義務づけた法律。
「削除強化」と「言論の自由」のはざまで Xの試みが示す調整の難しさ
Xが新設した「削除申出窓口」は、日本語による迅速な申請環境を整えた点で、情報流通プラットフォーム対処法の趣旨に沿った大きな前進と言える。
とくに、日本語専任チームを配備したことで、文化的背景や言語の壁による誤解が起きにくくなり、申出内容に対する精度の高い判断が可能になると期待される。
一方で今後の課題も浮かび上がる。
対応が加速することで、プラットフォーム側が「過剰な削除」に踏み込むリスクもあるだろう。表現の自由が不当に制限されたと受け取られれば、Xの中立性や透明性に対する信頼は揺らぐ可能性がある。
また、削除判断の遅延や不備が続けば、「被害者保護の姿勢が不十分だ」として批判を招く懸念も残る。
今後は、プラットフォームの公益性と個人の権利保護とのバランスをいかに維持するかが焦点となるだろう。
Xのようなグローバル企業が各国の法制度に柔軟に対応しつつ、どのような基準で削除判断を行うかは、他のプラットフォームにも影響を与えると推測できる。
デジタル時代における言論の自由と権利救済の最適な接点を探るうえで、今回の試みは重要な試金石となり得る。