メタ、「超知能」部門に元OpenAI研究者を起用 ChatGPT開発経験のジャオ氏が指導へ

2025年7月25日、米メタ・プラットフォームズが発表したところによると、同社は新設した「スーパーインテリジェンス(超知能)」AI部門のチーフサイエンティストに、6月にOpenAIから移籍したションジャ・ジャオ氏を任命した。
AI競争が激化する中、戦略的な人材獲得の動きとして注目だ。
ChatGPT開発者がメタの超知能戦略を主導
メタのマーク・ザッカーバーグCEOは25日、自身が主導する「超知能」AI開発部門において、ションジャ・ジャオ氏をチーフサイエンティストに任命したと発表した。
ジャオ氏は今年6月にOpenAIからメタへ移籍し、かつてChatGPTの初期バージョン開発に関わった中心人物の一人である。
同氏は、メタの最高AI責任者であるアレクサンドル・ワン氏の直属となる。
ワン氏もまた6月にメタへ加わった人材で、AIスタートアップのスケールAIでCEOを務めていた経歴を持つ。
今回の人事は、同社がAI領域でリーダーシップを確立する意図の表れと捉えられる。
メタは近年、OpenAIやグーグル、アンソロピックなどとの競争にさらされる中で、大規模言語モデル(LLM)やAIエージェント技術の開発に注力してきた。
とりわけ「人間と同等かそれ以上のタスク遂行能力」を備えたAIの実現を掲げ、新たな部門設立と人材投資に積極的な姿勢を示している。
ザッカーバーグ氏は今回の人事について、短文投稿アプリ「Threads」で「採用が順調に進み、チームがまとまりつつあるため、指導的役割を正式に決めた」と説明した。
「脱OpenAI」戦略を加速 メタ、超知能領域で技術主導権を狙う
今回の人事を契機に、メタはAI分野における自立的な研究体制の確立へと本格的に舵を切るとみられる。
ジャオ氏のような有力研究者の起用は、OpenAIへの依存から脱却し、自社主導の研究開発力を高める布石と位置づけられるだろう。
特に、LLMやAIエージェントの進化を目指すメタにとっては、基礎研究と実装の両領域に精通した人材の存在が、開発スピードと品質の両立に資すると考えられる。
一方で、スーパーインテリジェンスの開発には、倫理的な懸念や制御不能リスクといった本質的な課題も付きまとう。
現時点では、メタがどのようなガバナンス体制や安全設計思想を採るのかは不透明であり、社会的な受容には慎重な対応が求められるだろう。
今後は、「脱OpenAI」路線を象徴するかたちで、次世代AIモデルの研究成果やプロトタイプの一部が段階的に公開される可能性もある。
ザッカーバーグ氏の構想にもある通り、研究人材の確保と組織体制の整備が進むことで、メタはAI領域における技術的主導権の獲得を視野に入れた独自戦略を加速させると予想される。
スーパーインテリジェンスという高次の領域において、既存のLLMを凌駕する革新的なモデルの登場が、数年内に現実味を帯びてくる可能性もある。