レアル、シティ、バイエルンがAIで負傷予測を高度化 感情や睡眠も解析対象に

2025年7月25日、スペイン紙『MARCA』は、レアル・マドリード、マンチェスター・シティ、バイエルン・ミュンヘンが選手の負傷リスクを予測する目的でAI技術の活用を本格化していると報じた。
練習量や体調だけでなく、感情や睡眠といったデータまで分析し、故障予防の精度向上を図る。
欧州の名門クラブがAIで負傷リスクの可視化へ
レアル・マドリード、マンチェスター・シティ、バイエルン・ミュンヘンといった欧州を代表する強豪クラブが、AIによる選手管理体制を強化している。
報道によれば、各クラブはトレーニング負荷や過去の負傷歴、睡眠の質、栄養、試合での運動量、さらには選手の感情状態など、多岐にわたるデータをAIで統合解析し、負傷リスクの早期検出を可能にしているという。
この技術の導入により、従来の肉体的疲労に加え、精神的変化といった“目に見えない要素”も可視化されつつある。
感情の乱れが筋肉系の故障リスクに影響するという分析結果を踏まえ、メディカルチームや監督が適切な調整や介入を行う事例も増加している。
こうした取り組みにより、怪我による離脱を最大30%削減できると期待されている。
AIの活用はケガの予防にとどまらず、データに基づいてトレーニング内容を最適化したり、試合に向けたコンディション調整に役立てられている。
これにより、クラブは選手という貴重なリソースの稼働率を最大限に引き上げることが可能だ。
AIが変える選手管理の未来── 回復支援まで視野に入れたトータルマネジメントへ
今後、AIによる負傷予測や健康管理のテクノロジーは、欧州の一流クラブにとどまらず、アジアや南米など世界中のクラブへと急速に広がっていくと考えられる。
個別最適化されたデータ分析によって、選手一人ひとりに最適なトレーニングと休養が設計され、負担の軽減やパフォーマンスの最大化が実現されるだろう。
ただしその一方で、プライバシーや倫理、そして現場の直感を軽視するリスクも伴う。
テクノロジーと人間の判断力との適切なバランスを模索する姿勢が、導入の成否を左右しそうだ。
現在は主に負傷リスクの予測とトレーニング調整への応用が進められているが、AIによる選手マネジメントは、今後「回復支援」領域にも踏み込んでいくとみられる。
たとえばリハビリの進行状況をリアルタイムに分析し、メンタル状態も含めた復帰計画を自動で提示するような仕組みが整えば、医療・指導・心理ケアを統合する「トータルマネジメント」が現実のものとなるだろう。