メタプラネット、米国事業を再編 持株会社とデリバティブ子会社新設

2025年7月25日、東証スタンダード上場企業メタプラネットは、米国フロリダ州に完全子会社の持株会社「メタプラネット・ホールディングス(Metaplanet Holdings)」を設立すると発表した。
あわせて、米国におけるデリバティブ事業に特化した新子会社の設立も予定している。
米国事業の再編進む 持株会社で管理体制を強化へ
メタプラネットは、ビットコイン保有数で世界上位に位置する企業として知られるが、その国際展開を加速する構えを見せている。
今回新設される持株会社メタプラネット・ホールディングスは、2025年5月に米フロリダ州で設立された「メタプラネット・トレジャリー・コーポレーション(Metaplanet Treasury Corporation)」の親会社となる。
現物出資の形式で、同社の全株式(7億1,550万ドル相当)を移管する予定だ。
新体制のもと、メタプラネットはグループ全体での米国事業管理体制を強化し、ビットコイン・トレジャリー企業(※)としてのグローバルな経営基盤を確立するとしている。
加えて、新たに設立が予定されているデリバティブ事業に特化した子会社では、既存のビットコインインカム事業とのリスク分離を進め、リスクマネジメントの高度化を図る方針だ。
新体制のキーパーソンとして、メタプラネット・ホールディングスの取締役には、現CEOのサイモン・ゲロヴィッチ氏と、UTXO Managementのシニアアナリストであるデイラン・ルクレール氏が就任予定となっている。
※ビットコイン・トレジャリー企業:戦略的な資金調達を通じてビットコインの保有量を増加させ、1株あたりのビットコイン保有量を最大化することにより、長期的な株主価値の向上を図る企業のこと。
制度対応と成長戦略の両立へ ビットコイントレジャリーの新たな枠組み
メタプラネットが進める米国での持株会社設立とデリバティブ事業子会社の新設は、同社のビットコイン戦略を制度面から強化する動きとして、今後の企業価値向上に大きく寄与する可能性がある。
ホールディングス体制の導入により、米国市場でのガバナンスや規制対応が効率化され、機動的な事業運営が実現されるとみられる。
ただし、今後はボラティリティの高いビットコイン市場に加え、米国で進行中のデリバティブ規制強化への対応が重要な課題となるだろう。
規制変更への適応を誤れば、コンプライアンス上のリスクや事業遅延につながる可能性もある。
さらに、事業の急拡大に伴う統制の緩みが発生すれば、ホールディングス体制そのものの形骸化を招くおそれも否定できない。
今後の事業成果とガバナンス実績次第では、メタプラネットの取り組みが「ビットコイン・トレジャリー戦略」の制度的なモデルケースとして注目され、他の上場企業による追随も加速することが予想される。
制度対応と事業運営を両立させるこの動きは、国内外の暗号資産市場において、新たな成長フレームの一角を担う可能性がある。