サクセス、生成AI×人の手で描くミステリーゲーム『転生遊郭: Ghost Traveler』を10月発売へ

2025年7月24日、株式会社サクセスは、新作ミステリー『転生遊郭: Ghost Traveler』を10月16日に発売すると発表した。
生成AIと熟練クリエイターの協業により開発された本作は、SteamおよびNintendo Switch向けに展開され、価格は税込2640円となる。
AIと人力が融合したミステリーゲームが登場
『転生遊郭: Ghost Traveler』は、ゲームメーカー・サクセスが手がけるミステリーアドベンチャーゲームである。
同社が初めて、生成AIを制作工程に本格導入した作品となる。
AIの活用例としては、キャラクターボイスには「にじボイス(※1)」、翻訳には「DMM GAME翻訳」、背景やモブキャラの生成には「Stable Diffusion XL(※2)」などを採用。
AIが作成した背景は、不自然さが出ないように調整されている。
ゲーム内BGMもAIで作られているが、ゲームの核となるシナリオやメインキャラクターのデザインは、プロのクリエイターが担当し、没入感のある世界観を作り上げたという。
物語の舞台は19世紀の日本・江戸時代。
現代の渋谷で超常現象に巻き込まれ、意識を失った青年・琥太郎が目を覚ますと、”神”から、自分が江戸時代の吉原遊郭へとタイムスリップしたことを告げられる。
そこで待ち受けていたのは、遊郭で起きた花魁殺人事件。琥太郎はその謎を追い、真相に迫っていく。
※1 にじボイス:キャラクターを選択し、テキストを入力することでAI音声を生成できるサービス。
※2 Stable Diffusion XL:オープンソースの画像生成AIモデル。
“少数精鋭”時代の到来か AI協業型ゲーム開発の可能性
『転生遊郭』は、今後のゲーム開発におけるAI活用の指針となる可能性がある。
今後、生成AIの精度や汎用性がさらに高まれば、音声・画像・音楽などのコンテンツをプロレベルで生成することも現実味を帯びてくる。
そうなれば、少人数でも高品質なゲーム制作が可能になり、インディーゲーム市場を中心に“少数精鋭型”の開発体制が広がる展開も考えられる。
一方で、AIが量産するコンテンツの“没個性化”という課題は今後もつきまとうだろう。
似たような絵柄や構図がゲーム間で頻出するようになれば、ユーザーの没入感や独自性への期待が薄れる懸念もある。
そのため、いかにAIの出力を取捨選択し、人間の感性で磨き上げていくかが、差別化の鍵を握ると見られる。
『転生遊郭』は、こうした“AIと人間の共存”というテーマに対する一つの試金石といえる。
今後のユーザー評価や業界の反応によっては、AI協業型のゲーム制作がスタンダードとして定着していく可能性もあるだろう。
『転生遊郭: Ghost Traveler』公式サイト:https://ghost-traveler.success-corp.co.jp/