バンダイが福島・磐梯町と連携協定へ IP活用で地域創生と学び支援を加速

2025年7月14日、玩具大手のバンダイは、福島県耶麻郡磐梯町とサステナビリティ推進に関する連携協定を締結したと発表した。
バンダイナムコグループのIPを活用し、地域振興と子どもの学び支援に取り組む計画である。
バンダイと磐梯町が「同音」縁に地域連携を本格化
バンダイは、福島県磐梯町と地域振興・教育支援に向けた連携協定を結び、今後はサステナビリティ施策を共同で推進していく。
磐梯町の佐藤淳一町長が音の縁に着目し、協定締結を呼びかけたことが契機となった。
この協定では、磐梯町が進める「バンダイの森」構想にバンダイが協力。
「子どもたちが自然体験や探究をできる場づくり」を支援し、将来にわたり子どもたちに新たな可能性を提供し続ける施策を共同で行うという。
従来から両者は「バンダイ」という同音のつながりをもとに交流を続けており、町の公式キャラクター「ロボばんじぃ」のデザインには、バンダイが過去に関与した実績もある。
なお、同社名は磐梯町由来ではなく、「萬代不易(ばんだいふえき=永遠に変わらぬ価値)」という言葉を語源としているという。
協定に基づき、バンダイナムコグループの人気IP(※)「アイドルマスター SideM」のキャラクターが地域連携の担い手となる。
福島県出身のキャラクター・天童輝がリーダーを務めるユニット「DRAMATIC STARS」は、磐梯町の「ばんだい名水大使」に就任した。
今後は、キャラクターを起用したオリジナルグッズやノベルティの展開、さらにはふるさと納税の返礼品との連動など、さまざまなコンテンツ展開を想定する。
※ IP(Intellectual Property):知的財産。ここでは主にアニメ・ゲームなどのキャラクターや作品ブランドを指す。
「IP×地域創生」の先進モデルに期待と課題 持続可能な戦略がカギに
今回のバンダイと福島県磐梯町による連携協定は、IPを活用した地域創生の先進的な事例になる可能性が高い。
特に、既存のIPファン層を呼び込む施策は、観光誘致や関係人口の拡大といった地域課題の解決に直結し得る。
キャラクターが地域PRの担い手となることで、これまで接点のなかった層への訴求が可能になるだろう。
ファン層による交流人口の増加や、ふるさと納税返礼品を通じた経済効果も期待される。
また、バンダイが掲げる「子どもたちとつくる、進化し続ける」という理念が、磐梯町の教育支援施策と重なっている点も重要だ。
単なるコンテンツ提供にとどまらず、持続可能な学びの環境づくりに寄与する構想は、他地域への波及効果を生む可能性を秘めている。
一方で、キャラクターIPに依存した地域活性化は、話題性が一過性にとどまるリスクも孕む。
ファンイベントやキャンペーンなどで一時的に注目を集めても、長期的に関係人口や定住人口の増加につながらなければ、効果は限定的となりかねない。
今後は、現時点で明らかにされている、ふるさと納税との連動施策やグッズ展開に加え、観光資源との組み合わせや教育プログラムへの応用など、IPを軸にした複合的な地域戦略への深化がカギとなるだろう。