生成AIが作文教育に変化 徳島・海陽町で児童がAIと対話し表現力を磨く授業

2025年7月8日、徳島県海陽町の小学校で、生成AIを活用した作文の授業が実施された。
児童が自作の文章をAIと対話しながら改善する取り組みで、県内の教員らも視察に訪れた。
慶應義塾大学大学院との連携によるもので、地域教育における先進的な試みとして注目される。
AIと対話しながら作文を改善、児童が体験
海陽町の小学校で行われているこの授業は、慶應義塾大学大学院との連携のもと、2024年度から始まった取り組みである。
今回で3回目となる授業では、「ふるさと海陽町の魅力」をテーマに、児童が事前に書いた作文をもとに、生成AIと対話しながら内容をブラッシュアップするプロセスを体験した。
子どもたちは、「質問が上手だから使いやすい」「人間みたいに感じる」と、生成AIとのやり取りに対して率直な感想を口にしていた。
AIとの対話を通じて、自らの表現を見直すきっかけとなったようだ。
この日は県教育委員会の関係者や県内の小学校教員16人も授業を視察し、熱心にメモを取る姿が見られた。
児童がAIと共に仕上げた作文は、7月21日に海南図書館で一般公開される予定である。
新たな作文教育モデル 広がる期待と課題
生成AIとの対話を通じた作文指導は、児童の思考力や表現力を高める手法として新たな可能性を示している。
AIが文章の内容に応じた質問や提案を返すことで、子どもたちは自らの意図を再確認したり、表現を練り直したりするプロセスを能動的に体験できるようになるだろう。
ただし、他の学校でも同様の取り組みを導入するためには、設備やネットワーク環境の整備、教員のITリテラシー向上が不可欠だろう。
また、AIの応答に頼りすぎることで、児童の創造性や自主性が損なわれないよう、指導設計への工夫にも配慮が必要そうだ。
今後は、児童個々の理解や表現を把握するため、また、児童の自発的思考を促す「対話のきっかけ」として、生成AIを活用する場面も増えていくだろう。