札幌市、AI活用の結婚支援サービス 身分証明付きで5組が成婚

2025年7月1日、札幌市はAIを活用した「さっぽろ結婚支援センター」により、これまでに5組のカップルが結婚に至ったと発表した。
婚歴や身分が公的に証明された上でマッチングできる仕組みで、若年層の利用促進へ半額キャンペーンも実施中である。
AIが相手を提案、半年の交際で結婚に至る例も
札幌市が2024年7月に開設した「さっぽろ結婚支援センター」は、AIを活用して相性の良い相手を紹介するオンラインマッチングサービスである。
登録者は2年間で1万5000円の会費を支払い、AIによる推薦のほか、相談員の支援やイベントへの参加も可能だ。
同センターを通じて出会った30代男性と20代女性のカップルが、半年間の交際を経て2025年5月に結婚。
7月1日には、秋元克広市長から記念品が贈られた。
女性は「身分や婚歴が公的に証明された状態で、パートナー探しができるというのが、一番大きいメリットかなと思っていました」と語り、男性は「(サービスが)もっと広く知られるといいなと思います」と話した。
サービス開始以来、結婚に至ったカップルは5組。
現在の会員数は1355人で、市が設定した1750人の目標には未達となっている。
札幌市は2025年度中に成婚30組という目標を掲げており、2026年2月末までの期間限定で、29歳以下の登録料を半額とするキャンペーンを展開した。
経済的負担を軽減することで、若者層への訴求を図っている。
信頼と納得が鍵、AI婚活支援の次なる展開とは
札幌市が展開する「さっぽろ結婚支援センター」は、公的証明とAIマッチングを組み合わせた新たな婚活支援のモデルといえる。
最大のメリットは、本人確認や婚歴などの公的情報があらかじめ証明されている点にある。
また、AIによる推薦によって、従来の「数打てば当たる」式のマッチングとは異なり、効率的かつ理論的な出会いが可能になる。
一方で、若年層は婚活サービスそのものに心理的な抵抗感を持っている可能性もあり、AI活用というテクノロジーの魅力だけでは十分に訴求しきれていないということも考えられる。
また、AIマッチングの精度や推薦根拠に関する透明性が不足していれば、利用者が納得感を持ちづらくなる恐れもある。
今後、センターの展開においては、二つの方向性が検討される可能性がある。
ひとつは、対面相談やイベントなど、人によるサポートを強化し、AIの推薦機能と組み合わせることで、より精度の高いマッチング支援を目指す方向だ。
もうひとつは、マッチングの根拠や推薦プロセスを可視化することで、利用者の理解と信頼を高め、AI活用への心理的ハードルを下げる取り組みである。
市民の理解と共感を得ながらサービスを普及させることが、行政によるデジタル婚活支援の持続的な発展には欠かせないと考えられる。
「さっぽろ結婚支援センター」:https://www.kekkon-center.city.sapporo.jp/