千葉・飯山満中学校、生成AI活用授業を公開 全国から教育関係者110人が視察

2025年7月1日、千葉県船橋市立飯山満中学校が、生成AIを活用した授業の公開イベントを実施した。
県内外から教員や文科省職員など110人超が来校し、AIによる作文添削などの実践的な取り組みを視察した。
生成AIで作文添削、生徒が主体的に学ぶ授業展開
飯山満中学校では、生成AIの活用を通じて生徒の情報活用能力の向上を目指している。
今回の公開授業では、2年生の国語の授業において、文章表現を洗練させるためのAI活用方法が紹介された。
教師がChatGPTを用いた添削の流れを説明すると、生徒たちは自らが書いた作文をAIに入力し、語彙や構成についてアドバイスを受けた。
生徒はAIからの提案をもとに文章を再構築し、より分かりやすく魅力的な表現を探る姿勢を見せた。
視察には県内外から110人を超える教育関係者が集まり、教室内でのAIの活用方法を熱心に見学した。
参加者には文部科学省の職員や大学関係者の姿も見られ、現場の先進的な取り組みに対する関心の高さがうかがえた。
授業後に開かれた意見交換会では、各教員がAI導入に至った背景や実践での工夫について説明。
対して視察者からは、「AIに頼りすぎないための取り組みは」「成績をつけるうえで影響が出ないのか」など、実務面の課題に踏み込んだ質問が相次いだ。
飯山満中の小野雅範教頭は、「こうした機会を通じて全国的に教員のスキルアップを図り、子どもたちが主体的に学べる環境を作りたい」と話す。
生成AI教育の広がりと課題 指導体制の整備が鍵に
飯山満中学校による生成AIを活用した授業公開は、教育現場におけるAI導入の実践例として注目される。
最大のメリットは、生徒が自らの文章をAIに添削させるというプロセスを通じて、自己修正力や表現力の向上を図れる点にある。
AIは即時にフィードバックを返すため、生徒は試行錯誤のサイクルを短時間で繰り返すことができ、学習効率が高まる。
加えて、教員側にとっては添削作業の一部をAIに委ねることで、業務負担の軽減が期待できる。
一方で、「AIに添削させればよい」という依存的な姿勢が生まれれば、学習の質が低下しかねない。AIを“補助”として位置づけるための工夫が不可欠となるだろう。
生成AIの教育利用は今後さらに広がると予想されるが、生成AIが学習に関与することで、「どこまでが本人の力か」を見極める基準はより複雑になると考えられる。
これからは、客観的な評価指標やログ管理などの制度設計が今後のAI活用の成否を左右するだろう。