アマゾン、倉庫ロボットが100万台に到達 米経済紙は「人間の数を上回る」と予想

米国時間2025年6月30日、米Amazonは自社の倉庫用ロボットが累計100万台に到達したと発表した。
最新機体は日本のフルフィルメントセンターに導入され、今後は人間よりも多くのロボットが働く未来も現実味を帯びてきた。
ロボット導入が100万台突破、自動化が倉庫現場を刷新
Amazonは6月30日、世界各地で稼働する自社の倉庫用ロボットが100万台を突破したと明かした。
記念すべき100万台目のロボットは日本の施設に配備されたという。
ロボットは現在、世界の300以上のAmazon物流拠点で稼働しており、グローバルな自動化配送ネットワークの中核を担っている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、同社の配送の75%以上が何らかの形でロボットによる自動化の恩恵を受けている。
Amazonは単なる機械導入にとどまらず、AIとの統合も進めている。
同社は独自の生成AIモデル「DeepFleet」を開発し、ロボット同士をネットワーク化。
倉庫内の荷物の移動時間を最大10%短縮するなど、運用効率の向上を図っている。
重量物を持ち上げ、コンベヤーで運搬し、倉庫内を自律走行する機能に加え、最新機種「Vulcan(バルカン)」には「触覚」に相当する力覚センサーが搭載されており、人のように物体を扱うことが可能だ。
現在、Amazonは世界で160万人超の従業員を抱える一方、ロボットの数は加速度的に増加している。WSJは、将来的に人間の従業員数を上回る可能性があると報じている。
また、家庭用ロボットの市販計画も進行中で、1,600ドル(約23万円)の価格帯で一般向けに展開される予定である。
自動化で生産性向上も、雇用・人権面に課題残る
100万台に達したロボット群は、物流効率の劇的な向上をもたらすと期待される。重作業や繰り返し作業をロボットに担わせることで、人間の従業員は管理・判断といった高次業務に集中できる。
一方で、技術進化がもたらす雇用への影響も無視できない。
Amazonは、従業員とロボットが協働する「ヒューマン・イン・ザ・ループ」型の運用モデルを標榜しているが、現場では人間がロボットの補助的な役割に追いやられる懸念もある。
スキルの再教育や業務内容の高度化が求められるなか、従業員側の適応には限界もあるだろう。
今後、ロボット数が従業員数を上回ることで、企業内の権力構造や業務設計の再定義が求められる可能性がある。
自動化は効率と利益をもたらす一方で、企業の社会的責任や倫理的判断が強く問われる局面も増えていくだろう。