マイクロソフトの次世代AIチップ、量産開始を2026年に延期 設計難航と離職が影響か

2025年6月27日、米メディア「ジ・インフォメーション」は、マイクロソフトの次世代AIチップ「Maia」(開発コード名:Braga)の量産開始が2026年にずれ込むと報じた。
設計変更や人材流出が主因で、当初予定の2025年内から半年以上の遅延となる見通しだ。
Maiaチップの開発に遅れ、量産は2026年に後ろ倒し
報道によると、マイクロソフトは独自のAIチップ「Maia」の量産計画を少なくとも半年延期する。
複数の関係者の証言として、設計上の想定外の変更や技術者の不足、高い離職率などが遅延の要因とされる。
Maiaは、2023年11月には正式に導入され、自社データセンターへの導入も視野に入れていたが、規模拡大に伴う技術的課題が表面化した。
チップの性能については、2024年にリリースされたエヌビディアの最新AIチップ「ブラックウェル」には遠く及ばないという指摘もある。
現時点では、AI計算の基盤として競合他社に遅れを取っている状況だ。
内製チップ戦略に試練、エヌビディア依存からの脱却遠のく
マイクロソフトは、エヌビディア製の高価格なGPUへの依存度を下げるべく、AI向け半導体の内製化を進めている。
同様の戦略は、アマゾンやグーグルも採用しており、クラウド大手間での開発競争が激化している。
Maiaの量産延期により、同社のカスタムチップ戦略の実行には大きなハードルが生じた格好だ。
AIモデルの演算効率を高めるには高度な設計技術と安定した人材確保が不可欠であり、今回の遅延はその両面の課題を浮き彫りにしたと言える。
一方で、Maiaの開発が軌道に乗れば、コスト最適化や処理効率の向上といった利点が見込める。
将来的には、自社AIサービスとの親和性を高めることで差別化を図る可能性もある。
ただし、当面はエヌビディアへの依存が続き、AI基盤構築における主導権獲得は容易ではない情勢だろう。