AdobeがiPhone向けに高品質カメラアプリ　自然な写りを再現する「Project Indigo」提供開始

2025年6月13日、米AdobeはiPhone向けに一眼レフのような自然な写真表現を可能にするカメラアプリ「Project Indigo」の提供を開始した。
最大32フレームの合成やRAW出力など高度な機能を備えており、写真愛好家やプロ層から注目を集めると思われる。

スマホ撮影の限界に挑む「Project Indigo」登場

Adobeが開発した新たなiPhone向けカメラアプリ「Project Indigo」は、従来のスマートフォンカメラでは難しかった自然な写りを実現する。
最大32フレームを連続撮影・合成することで、明暗のバランスやテクスチャの自然さを維持し、ハイライトの飛散やシャドウノイズを低減する独自設計を採用している。

トーンマッピングや彩度を向上、シャープニングの処理を抑えることで、一眼レフカメラで撮影したような「誇張のない」画像表現を目指しており、AdobeのCamera RawやLightroomとの互換性も確保されている。

画像形式はJPEGとDNG（RAW）に対応しており、後者ではHDR表現と低ノイズを両立している。
さらに、ゼロシャッターラグやマルチフレームスーパーレゾリューションなどの高度機能も搭載されており、撮影体験の幅が広がる構成だ。

フォーカスやISO、シャッター速度などのマニュアル設定にも対応しており、長時間露光や合成機能など、多様な撮影ニーズに応えられる仕様となっている。

プロ志向ユーザーを取り込む新戦略　利便性と表現力を両立へ

スマートフォンのカメラ性能は年々向上しているが、未だ一眼レフに匹敵する「自然な描写」や「撮影設定の自由度」は十分に備えられていなかった。
Project Indigoは、こうしたギャップを埋める存在として、プロカメラマンやハイアマチュア層の需要を狙った製品であると考えられる。

とりわけ、RAW撮影の標準対応やAdobe製品とのワークフロー連携は、編集工程を前提とした撮影者にとって大きな魅力である。
スマートフォンという身近なデバイスで本格的な撮影を可能にすることで、機材の軽量化や、撮影シーンの拡張につながる効果が期待できる。

一方で、フレーム合成やRAW出力には高度な処理能力が求められるため、バッテリー消費や端末の処理負荷といった課題もあるだろう。
今回はあくまで実験的アプリとしての位置づけであり、正式な商品展開は今後のユーザー反応次第とみられる。

今後は、Android版アプリのリリースに加え、従来のカメラアプリを上回る操作性と高画質を実現する新たなポートレートモードの搭載など、ユーザー層を広げる機能の拡充も計画されている。