さくらインターネット、NVIDIA H200搭載の新GPUクラウド開始 石狩に液冷コンテナ型データセンター本格稼働

2025年6月11日、さくらインターネットは北海道石狩市にてコンテナ型データセンターの運用を開始した。同施設にはNVIDIA H200 GPU約1000基が搭載されている。
同時に、生成AI向けの新クラウドサービス「高火力 PHY H200」プランの提供を開始したことも発表された。
液冷対応の新型コンテナDCでH200プラン始動
さくらインターネットは、石狩データセンター敷地内に新たなコンテナ型データセンターを建設し、2025年6月から本格稼働を開始した。同施設では、最新のNVIDIA H200 GPUを約1000基導入し、生成AI開発などを支える新サービス「高火力 PHY H200」の提供を開始している。
このコンテナ型施設は、従来型の建屋に比べて大幅に短い工期で建設可能な点が特徴である。従来の石狩第3データセンターが計画から竣工までに約3年3カ月を要したのに対し、新施設はわずか1年半での稼働にこぎつけた。
また、冷却には直接液体冷却方式(Direct Liquid Cooling)を採用。高発熱部位に液体で直接アプローチすることで、空調主体の冷却と比べて、消費電力の大幅削減が期待できる。
この方式により、1ラックあたりのGPUサーバー搭載数は2台から最大5台へと増加し、運用効率の向上にもつながっているという。
生成AI需要に対応、地方DCの競争力向上も視野に
さくらインターネットが展開する「高火力 PHY H200」プランは、NVIDIA H200 SXM 141GB GPUを8基搭載した構成で、最大400Gbps×8回線のネットワークバックボーンを備えている。
これにより、生成AI、機械学習、科学シミュレーションなど、計算負荷の高い用途に対しても十分な性能を提供できる見込みである。
今回のプラン提供は、国内における生成AI市場の成長を見据えた戦略的な動きであり、東京・大阪といった大都市圏に集中していたデータセンター需要を地方に分散させる意味でも重要な一手となるだろう。
特に、冷涼な気候と再生可能エネルギーの活用余地がある北海道は、サステナブルなインフラ構築の観点から注目が高まっている。
ただし、高性能GPUの需要集中は電力供給や熱処理などの新たな課題も伴うと考えられる。
液冷技術の実装や運用体制の柔軟性が問われる中、コンテナ型という形態がどこまで拡張性を持ち得るかが今後の焦点となるだろう。