2026年7月10日、NTTデータグループのフォーティエンスコンサルティング株式会社は、企業向け「対話型AI活用 実践研修プログラム」の提供を開始した。生成AIを「思考のパートナー」として活用する実践力を育成し、業務課題の解決や新規事業創出につなげることを目的とした研修サービスである。
AIを思考支援へ導く実践研修を提供
本プログラムは生成AIを単なる情報検索や文章生成ツールではなく、業務上の意思決定や課題整理を支援する存在として活用する力を養う内容となっている。座学と実践演習を組み合わせ、戦略立案や業務改善など課題の種類に応じた対話プロンプトを用いながら、AIへの問いの立て方や回答の検証方法、実務への落とし込みまでを体系的に学べる。
演習では受講者自身の業務課題を題材とするため、営業開拓や新規事業立案、業務改善など業界や職種に応じたカスタマイズが可能だ。研修期間は半日から1日程度で、対面を基本としつつオンラインにも対応する。最大30名程度まで受講でき、費用は130万円からの個別見積もりとなる。
開発の背景には、生成AIを検索エンジンの延長として利用し出力をそのまま受け入れる「消費型」の活用が広がっている現状がある。このような利用は認知的オフローディング※を招き、利用者自身の思考力や判断力の低下につながる懸念も指摘される。フォーティエンスはAIとの対話を通じて知識を広げる「対話型」への転換を促し、企業におけるAI活用の質を高めることを目指している。
※認知的オフローディング:本来自分で行う記憶や思考、判断などを外部のツールやAIに委ねること。業務効率化につながる一方、過度に依存すると思考力や判断力の低下を招く可能性があるとされる。
AI時代は「問いを作る力」が競争力に
本研修の特徴は、フォーティエンス独自の知識創造フレームワーク「DIVEモデル」を学習プロセスへ組み込んでいる点にある。Discover(探究)、Interact(壁打ち)、Verify(検証)、Embed(定着)の4段階を繰り返すことで、AIから得た回答をそのまま採用するのではなく自ら仮説を磨きながら業務へ定着させる力を養成する。
また、研修は受講企業が日常的に利用しているAI環境上で実施されるため、セキュリティ要件を維持しながら学習できるほか、配布される標準プロンプト集を研修後も継続利用できる。単発の研修に終わらず現場での実践につながりやすい設計といえる。
一方で、AI活用の成果は研修だけで保証されるものではない。組織全体でAIを活用するには業務プロセスの見直しやデータ基盤の整備、人材育成を一体的に進める必要がある。企業ごとにAIリテラシーや業務内容も異なるため、継続的な改善体制を構築できるかが成果を左右するだろう。
フォーティエンスは今後、公共分野や新任マネジャー向けなど対象別プログラムの拡充も予定している。生成AIが企業活動の前提となりつつある中、「AIを使う力」だけでなく「AIと考える力」を育成する取り組みは企業競争力を左右する重要なテーマとなる可能性がある。