国内で配車サービスを展開するUber Japanは東京都内で新CM発表会を開催し、日本市場におけるモビリティ事業の成長戦略を発表した。今後5年間でモビリティとデリバリー事業に20億ドル(約3100億円)以上を投資する方針を明らかにした。
Uber、全国展開と大型投資で成長戦略を加速
Uber Japanは2026年6月3日に行った新コマーシャルの発表会で、日本におけるモビリティ事業の現状と今後の成長戦略を説明した。
Uber Taxiは現在、全国1,000社以上のタクシー事業者と提携し、47都道府県すべてで利用可能となっている。『海外からの観光客向けのサービス』や『特別な時の移動手段』という印象が強かった時期から変化し、国内利用者の日常的な移動手段として定着しつつあるという。
同社によると、日本のモビリティ事業の取扱高は、2021年のコロナ禍後と比較して10倍以上に拡大した。2025年も前年比でほぼ倍増しており、高い成長率を維持しているという。
成長の背景として、Uber Japanの代表である山中氏は3つの要因を挙げた。
第一に、Uber EatsとUber Taxiを組み合わせた独自のエコシステムである。日本ではUber Taxiの初回利用者の約4分の1がUber Eatsを経由しており、両サービス利用者は単独利用者と比べて7.5倍の速度で増加している。
また、会員サービス「Uber One(※1)」の世界会員数は5,000万人を突破した。
第二に、楽天や航空会社との提携による利用者基盤の拡大がある。
楽天とのID連携では150万件以上のアカウント連携を達成し、グローバル展開するUberの提携施策の中でも特に高い成長を記録したとのことだ。
第三に、若年層向けの「Uber Teens」、「Uber シニアとシンプルモード」、宅配サービス「Uber Courier」などを通じて利用対象を拡大している点を挙げた。
同社は今後5年間で20億ドル超を投資し、利用者支援、ブランド認知向上、パートナーシップ強化などを進める方針を示した。
※1 Uber One:Uberが提供する定額会員サービス。配車やフードデリバリーで割引や特典を受けられ、複数サービスを横断して利用できる。
地方交通とロボタクシーが次の成長領域に
今回の発表は、Uberが日本市場を重要な成長拠点として位置付けていることを示す内容と言える。特にUber EatsとUber Taxiを相互送客する仕組みは、利用者獲得コストを抑えながら顧客接点を拡大できるため、他の配車事業者との差別化要因になり得るだろう。
また、地方部の交通課題への対応も期待される点だ。
同社は公共ライドシェア(※2)の活用や地域パートナーとの連携拡大を進める方針を示しており、人口減少やドライバー不足に直面する地域にとって新たな移動手段となる可能性がある。
さらに2026年後半にはロボタクシーの試験運行も予定されている。
実用化が進めば、人手不足の緩和や運行効率の向上につながりそうだが、法規制や安全性の検証、既存交通事業者との役割分担など、解決すべき課題も少なくないだろう。
特に日本では地域ごとに交通事情が大きく異なるため、全国一律の成功モデルを構築できるかは未知数である。
今後は巨大な投資計画が実際の利用拡大や地方交通の改善につながるかどうかが注目点となりそうだ。
※2 公共ライドシェア:自治体や交通事業者の管理のもと、一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ仕組み。交通空白地域の移動手段確保を目的として導入が進められている。
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