2026年5月28日、米Microsoftは「Copilot in Excel」において、金融情報プロバイダーのLSEGとムーディーズのデータを直接取得できる新機能を発表した。Model Context Protocol(MCP)を活用した連携により、Excel上で最新の市場データや信用情報を取得できるようになり、金融機関や企業の分析業務の効率化が期待されている。
Excelから金融データを直接取得可能に
Microsoftは、Microsoft 365 Copilot向けの「Federated Copilot Connectors」をCopilot in Excelへ導入し、LSEGとムーディーズのデータに対応したことを発表した。
この機能は、業界標準として普及が進むModel Context Protocol(MCP)(※)を活用した仕組みで、Copilotがユーザーの問い合わせ時に外部データソースへ直接アクセスし、最新情報を取得できる。従来のように複数のサービスからデータを収集し、Excelへ転記する作業を減らせる点が特徴だ。
LSEG連携では、外国為替レートや株価、債券価格などの市場データをExcel内へ取り込める。財務部門による為替ヘッジ分析や資金調達コストの試算、資産運用担当者による市場分析などでの活用を想定している。
一方、ムーディーズ連携では、信用格付けや企業情報、調査レポート、業界見通し、関連ニュースなどを取得可能となる。ポートフォリオ分析や与信管理業務において、信用リスクに関する情報をExcel上で直接参照できるようになる。
利用者はCopilotの「Sources」メニューからLSEGまたはムーディーズへ認証を行い、利用するデータソースを有効化することで機能を利用できる。取得したデータは利用前に確認画面が表示される仕組みとなっており、アクセス権限やガバナンスへの配慮も盛り込まれている。
対象はMicrosoft 365 Copilotライセンスを保有する法人ユーザーで、Excel Web版、Windows版、Mac版で利用可能だ。
※Model Context Protocol(MCP):AIと外部システムやデータベースを接続するための標準規格。異なるサービス間で安全かつ統一的にデータをやり取りできる仕組みとして注目されている。
データ収集の自動化で分析業務は新段階へ
今回の発表は、生成AIが文章作成支援だけでなく、専門データを活用する業務基盤としての役割を広げつつあることを示す事例と言える。
大きなメリットの一つは、データ収集や転記に費やしていた時間の削減が期待できる点だ。市場データや信用情報を自然言語で呼び出せるようになれば、担当者が入力作業よりも分析や意思決定に時間を割きやすくなる可能性がある。また、手作業による入力ミスの削減にもつながると考えられる。
一方で、外部データソースへの依存度が高まることや、ライセンス費用の増加といった課題も想定される。さらに、AIが取得した情報を基に分析を行う場合でも、最終的な判断や検証については人間による確認プロセスが引き続き重要になるだろう。
Microsoftは今後さらなるデータプロバイダーの追加を示唆しており、LSEGやムーディーズ以外の情報ベンダーとの連携拡大も見込まれる。こうした動きが進めば、Excelは単なる表計算ソフトから、AIエージェントを介してさまざまな業務データを活用するプラットフォームへ発展していく可能性がある。
関連記事: