2026年5月29日、ミサワホーム株式会社は、コンタクトセンターに生成AI要約支援システム「C-AI」を導入した成果を公表した。通話後の記録業務を1件あたり約4分30秒短縮し、電話応答率も向上。人手不足が深刻化するなか、生成AIを活用した業務改革を進めている。
生成AI導入で通話後業務を4分半短縮
ミサワホームは2025年10月から、コンタクトセンターに音声対応の生成AI要約支援システム「C-AI」を導入している。顧客との通話内容をAIが自動で要約し、オペレーターが行う通話後の記録業務であるACW(※)を支援する仕組みだ。
従来は通話終了後に担当者が内容を手作業で整理・記録していたが、生成AIによる要約支援によって後処理時間を1件あたり約4分30秒削減した。これにより、オペレーターは事務作業に費やしていた時間を顧客対応や課題解決の検討に振り向けられるようになったという。
同社はC-AIを単なる業務効率化ツールではなく、「パートナー」と位置付けて運用している。AIが出力した要約内容と実際の音声ログとの差異を分析し、プロンプトを継続的に改善する運用体制を構築した。
こうした改善ループによって要約精度の向上を図った結果、コンタクトセンターの電話応答率も向上したとしている。住宅業界では人手不足への対応と顧客ニーズの多様化が課題となっており、同社は今回の取り組みをDX推進の一環として位置付ける。今後も生成AI活用による生産性向上を進め、顧客に寄り添うサービス体制の強化を目指す方針である。
※ACW:After Call Workの略。通話終了後に対応内容を記録・整理する後処理業務。
AIが生む“共感の時間” 品質維持が普及の鍵に
今回の取り組みは、生成AI活用の目的が単なる業務効率化だけでなく、顧客体験の向上へ広がる可能性を示唆している。コンタクトセンター業務では、顧客の悩みや要望を正確に理解し、適切な対応を行うことが求められる。
事務作業をAIが支援することで、オペレーターは対話そのものに集中しやすくなり、サービス品質の向上につながる可能性がある。
一方で、要約結果をAIに依存し過ぎるリスクも存在する。重要な情報の欠落や文脈の誤認識が発生すれば、顧客対応に影響を及ぼす可能性があるためだ。そのため、ミサワホームが実施しているような継続的なプロンプト改善や人による確認体制の重要性は今後も高いと考えられる。
また、人手不足が深刻化するなか、同様の取り組みは住宅業界以外にも広がる可能性がある。金融、通信、小売など顧客対応業務を抱える業界では、AIによる業務支援と人間による付加価値提供を組み合わせるモデルが普及することも考えられる。
今後は「どれだけ業務を削減できるか」ではなく、「創出した時間でどのような顧客価値を生み出せるか」が企業競争力を左右する要素になりそうだ。
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