2026年5月22日、ピクスタ株式会社は、素材マーケットプレイス「PIXTA」で取り扱っていた「AI生成素材」の販売を終了したと発表した。生成AIの普及による大量投稿と購入者ニーズの乖離を背景に、人による独自作品を重視する方向へ舵を切る。
PIXTA、AI生成素材の販売を終了
PIXTAは2026年4月20日にAI生成コンテンツの新規申請受付を停止し、5月22日をもって「AI生成素材」として登録されていた作品の販売を終了した。対象はAIのみで制作された画像やイラストなどであり、ストック素材市場における運営方針を大きく見直した形となる。
背景には、画像生成AI(※)の急速な普及がある。高性能な生成AIツールが一般化したことで、短期間に大量のAI画像が投稿される状況が続いていた。一方で、購入者が求める素材との適切なマッチングが難しくなり、検索性や独自性の低下が課題になっていたという。
同社は、クリエイターが自ら撮影・創作した作品への需要が高まっていることに加え、AI生成素材のコスト増加による価格上昇の必要性などを総合的に判断したと説明している。また、AI活用そのものを否定するものではなく、既存作品への補助的なAI利用については引き続き認める方針だ。
PIXTAは今後も、人とテクノロジーが共存できるプラットフォームを目指すとしており、購入者ニーズとクリエイター作品の最適な接点を模索していくとしている。
※画像生成AI:文章入力などをもとに画像やイラストを自動生成するAI技術。広告制作やデザイン分野を中心に急速に普及している。
独自性重視へ転換 AI素材市場に再編の可能性
今回の決定は、生成AIブームの拡大によって増加した大量生成コンテンツへの対応策の一つと見る向きもある。AI生成画像は低コストかつ高速で制作できる一方、類似表現が増えやすく、素材の独自性が埋もれやすいとの指摘もあった。
PIXTAにとっては、独自性の高い作品を前面に出しやすくなる点がメリットになる可能性がある。日本市場では、実写性や文化的な細部表現を重視する需要も根強いとされ、撮影者や制作者の個性が再評価される余地もありそうだ。購入者側にとっても、目的の素材を探しやすくなる可能性が考えられる。
一方で、AI活用を前提に活動していたクリエイターにとっては販路縮小となる側面もある。今後、他の素材サービスが同様の判断を進めれば、AI生成コンテンツの流通先が限定される可能性も否定できない。また、どこまでを「補助的なAI利用」と見なすのか、その基準を巡る議論が広がることも予想される。
今後は「AIを使ったかどうか」だけでなく、「人間の創作性がどれだけ介在しているか」が重視される段階に入る可能性がある。今回のPIXTAの判断は、生成AI時代におけるクリエイティブ市場の方向性を示す事例として注目を集めそうだ。
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