メインコンテンツへスキップ
最新ニュース 4分で読める

NTT、光ネットワークを通信中に常時監視 世界初のDSP搭載トランシーバを実現

PlusWeb3 編集部
PlusWeb3 編集部 Web3・AI専門メディア

NTT株式会社は、通信しながら光ネットワーク全長の状態を可視化する機能を、世界で初めて小型光トランシーバの通信用DSPチップに搭載したと発表した。
AI時代の大容量通信網の保守運用を効率化する技術である。

光網全長の状態を可視化

NTTは2026年5月26日、光ネットワークの受信端に設置される小型光トランシーバのみを用い、通信を継続しながら光ネットワーク全長の状態を可視化する機能を、通信用DSPチップ(※)に搭載したと発表した。
光ネットワーク上の光信号パワーを把握し、異常な損失箇所を特定するための技術である。

近年はAI需要の拡大により、データセンタ間光ネットワークや基幹光ネットワークの大容量化、広域化が進んでいる。
NTTグループが展開するIOWN APNも、大容量、低遅延、低消費電力の通信をめざす次世代インフラとして位置づけられている。

従来、光ネットワーク全長の状態把握には、OTDRなどの専用測定器による測定作業が必要だった。
そのため、運用保守のコストがかかり、通信サービスを提供しながらエンドツーエンドで常時監視することは困難だった。

NTTはこれまで、光トランシーバで受信される通信信号のみから光ネットワーク全長の光信号パワーを可視化する技術を開発してきた。
ただし、従来は計算リソースの負荷が大きく、外部計算機などを使った原理実証にとどまっていた。

今回、NTTは可視化に必要な計算処理量を従来比100分の1に削減し、消費電力や実装面積の制約がある通信用DSPチップと小型光トランシーバへの搭載を可能にした。
実験では、NTTイノベーティブデバイス製DSPを搭載した小型プラガブル光トランシーバにより、800ZR+/400ZR+の標準的な通信信号を受信・処理し、最大1,005kmの光ネットワークで複数の光パワー異常を位置特定できることを確認した。

また、他社製光トランシーバからの送信信号を受信した場合にも正常に動作し、測定中に通信品質や消費電力への影響がないことも確認された。
本成果は、2026年3月15日から19日に米ロサンゼルスで開かれた光通信技術の国際会議OFC2026で、ポストデッドライン論文として採択・発表されている。

※DSPチップ:Digital Signal Processorの略。通信信号などの高速な演算処理に特化した半導体であり、光通信では受信した信号の補正、復元、解析などを担う。

光通信の保守は自律化へ

今回の成果は、光トランシーバの役割を通信信号の送受信から、ネットワーク状態の監視へ広げるものと言える。
AI活用が広がるほど、大容量通信基盤には高い安定性が求められるため、通信中に異常箇所を把握できる仕組みは運用面で大きな価値を持つ可能性がある。

メリットは、保守作業の効率化にある。専用測定器や個別の測定作業に依存せず、光トランシーバ自体が異常の兆候を検出できれば、障害箇所の把握にかかる時間を短縮しやすい。
通信を止めずに常時監視できる点も、データセンタ間通信や基幹ネットワークのように停止リスクを抑えたい領域では重要になる。

一方で、実運用で広く使うには、既存設備との互換性や長期運用時の安定性、異常検知の精度を継続的に検証する必要がある。
マルチベンダ環境で動作確認が行われたことは前向きな材料だが、商用ネットワークは構成や距離、障害要因が多様であるため、導入範囲が広がるほど検証項目も増えると考えられる。

今後、IOWN APNなどの光ネットワークに実装が進めば、通信インフラの運用は「障害発生後に調べる」形から、「通信中に常時見守る」形へ移行していく可能性がある。
AI時代の通信基盤では、容量拡大だけでなく、監視と保守の自動化も競争力を左右する要素になりそうだ。

NTT株式会社 ニュースリリース

関連記事:

遠隔GPUで電力30%削減へ NTTとNetApp、IOWNでAI学習の常識を転換

RELATED ARTICLE遠隔GPUで電力30%削減へ NTTとNetApp、IOWNでAI学習の常識を転換2026年3月19日、ネットアップ合同会社は、米NetAppとNTT株式会社が共…Read
Share this article コピーしました
WRITTEN BY

PlusWeb3 編集部

Web3・AI専門メディア

PlusWeb3 編集部は、ブロックチェーン・Web3・AIの最新動向をわかりやすくお届けする専門メディアチームです。業界経験豊富な編集者とリサーチャーが、信頼性の高い情報を厳選してお届けします。

コピーしました

Web3・AI・ディープテック領域のキャリアに興味がありますか?

業界特化メディアを運営する専門エージェントが、企業のカルチャー・技術スタック・選考ポイントまで踏まえてキャリアをご提案します。相談は完全無料です。