国内通信大手のNTT西日本とNTTビジネスソリューションズ、AVITAは、自動運転EVバス向けアバターサービス「バスあば」の開発に向けた業務提携を発表した。
AIアバターが乗客案内や観光情報を提供し、無人運行への不安軽減や地域交通維持を目指す取り組みとなる。
AIアバター搭載の無人EVバス構想
2026年5月25日、NTT西日本グループとAVITAは、車内コミュニケーションサービス「バスあば」を共同開発し、案内や声かけ、観光情報の提供などを行う構想を打ち出した。
今回の提携は、自動運転EVバスの車内にアバターを配置し、乗客とのコミュニケーションを担わせる点が特徴である。
背景には、政府が掲げる自動運転普及政策がある。
デジタル田園都市国家構想総合戦略では、2027年度までに100か所以上で地域限定型の無人自動運転サービスを実現する目標が示されている。
一方で、人間の運転操作を必要としない自動運転レベル4の社会実装には、心理上、事業性確保の上での課題も多い。
プレスリリースでは、人に見守られていく感覚を与えるような仕組みづくりをしていくとともに、運行事業としての持続可能性を確保することが、「サービス普及に向けた重要な要素」だと分析している。
今回の「バスあば」では、アバターやAIを活用したサービスを通じて “人に見守られている感覚”を提供し、無人運行への抵抗感を下げる狙いだ。
また、単なる移動手段ではなく、車内空間を情報発信や観光体験の場へ変える構想も注目点となる。
観光地では観光消費拡大・集客・リピーター化 、生活圏では情報発信の高度化などを担う可能性がある。
さらに、推し活コンテンツや広告による収益化も検討されており、運賃収入や公的補助だけに依存しない新たな交通ビジネスモデルの形成を目指す。
地域交通維持の切り札となるか
今回の取り組みは、単なる技術実証にとどまらず、地域交通のあり方を変える可能性を持つ。
特に人口減少地域では、運転士不足による路線縮小や廃止が相次いでおり、自動運転とAI接客を組み合わせた運行モデルは、交通維持コストの抑制策として期待できる。
加えて、アバター技術は新たな雇用創出にもつながる可能性がある。
AVITAは遠隔接客サービスを展開してきた実績を持ち、アバターオペレーターは居住地や年齢を問わず働ける点が特徴だ。
地方在住者や高齢者でも、遠隔から観光案内や乗客サポート業務に関わることができれば、地域経済への波及効果も考えられる。
ただし、課題も少なくない。
アバターやAIを活用した接客は利便性向上につながる一方、過度な機械化への抵抗感を持つ利用者も一定数存在すると考えられる。
また、アバターによってどの程度人間がかかわっているような安心感を担保できるかは未知数で、デザインなどによってはかえって顧客離れを生む可能性もある。
さらに、収益面でも未知数な部分は大きいだろう。
広告や観光連携による収益化モデルがどこまで成立するかは、地域ごとの人口規模や観光需要に左右されることになりそうだ。
とはいえ、移動そのものを「サービス空間」として再定義する発想は、日本の地方交通に新たな方向性を示す試みと言える。
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